WITH HOPE!!
イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。
引き出し
師匠と休み無く勉強したのは、カーディフの大学、ディプロマコース時代の5年間+ロンドンで修士号に進む前のプライベートで習った1年=6年間。
その後は、非常に飛び飛びです。
6年間、と言っても、私の場合は全く何もできていない状態からの6年間なので、導入から始めての6年間でした。
先生が指を1本ずつ持って、打鍵を教えいく。
曲の1小節の中にある、さまざまな音色、タッチを覚える為に、1時間、Noとしか言われず、先生が弾くのをまねしたこともあります。 その真似が難しくて(先生の耳をコピー)、わけわからなくなって、泣いたり、叫んだり、ということもありました。
他の音大生と違って、一つの曲を仕上げていって、1、2度先生にみて頂く、というレッスンでは私の場合はありませんでした。
もちろん、一度に膨大な量の曲を抱えていましたが、非常に時間をかけて、1つの曲を徹底的に仕上げました。
その割には、楽譜の書き込みは非常に少ない。
指使い、ペダルが主なものでしょう。
それだけ、全て、私の耳、指先、腕が記憶しなくてはいけないものばかりでした。
先日のレッスンの際、先生から指摘されたことを1度で直せる時もあれば、2,3回トライして出せる時もありました。
これを、私はこのように考えます。
小さな引き出しがたくさんついた飾り棚があります。
この引き出しに、私は師匠との6年間で多くのものを詰め込んだ。
まだ空いている引き出しもあるし、ぐちゃぐちゃな引き出しもある。
引き出しの奥の方にしまってあるものは、2、3つの引き出しをあけてみないとみつからないけれど、でも、閉まってあるものは、見つかる。
サマーコースで、数人の先生のレッスン受けるので、色々なことを思います。
棚の上に飾るのが得意な先生。
その飾り方が独創的な人もいれば、皆同じでないと駄目な先生もいる。
私が好きな先生は、棚の上を飾るだけではなくて、空いている引き出しにちょっと何かを入れてくれる先生。
簡単なことと思うかもしれませんが、それができる先生はとても少ない。
引き出しに入れる、ということは、後々、その作曲家の違う曲を弾く時、もしくは、全く違う曲で同じようなタッチが求められる時に、また取り出すことができるように入れる、ということです。
非常に初期的なこと、としては、譜読みの仕方、私が口うるさく言う、ゆっくり数えながら弾く、ということから、引き出しに入れていくことだと思います。
私の師匠、Dr.Sと修士の時に師事したゴードン先生の大きな違いは、
例えば、引き出しに同じ色の色をつける道具を入れていくとする。
師匠は、『赤』という引き出しに、赤い絵の具、色鉛筆数社、クレヨン、ボールペン、色々な種類を入れる。
ゴードン先生は、『赤』という引き出しに、赤いボールペン1社を何本も入れる。
どちらも間違っていないのです。
ただ、今コンクールを受けていて思うことは、ゴードンの引き出しの方が、コンクールでは強いだろうな、ということ。
先週のレッスンの際に、『オーチン・ハラショー』と言って頂けたショパンのノクターン、5月のコンクールの際に、審査員の方から、「中間部、普通は盛り上げるところで、君は距離を置いてみているような弾き方をした。 普通と違うから、個性が強くて予選落ち」と言われました。 ただ嬉しかったのは、実際、私は遠くから見ているような情景をあらわしていたので、伝わったことです。
師匠にはこのことは言っていなかったのですが、弾き終った後、この話をしたら、
「何が駄目なのだ? 別に、指示が書いてあるわけでもないし、変でもないし、説得力があるから、良いのではないか?」
と言われただけでした。
この人に常識は伝わらない。
私が別に意識したことなんてないのに、個性が強い、といわれるのは、師匠のせいだ、と改めて思いました。
どちらの引き出しも間違っていません。
私は、棚の上を飾るだけの先生にはなりたくない。
夏休みは、棚の上をきれいに飾れる小学生2人に、引き出しを増やして中身を入れていくレッスンをします。
私が日本へ行かない代わりに、こちらへいらして下さる方もいるので、がんばらなくてはいけません!!
私自身も、サマーコースでは、アシスタントとして教えながらも、自身も受講者なので、今から引き出しの整理をしなくては間に合いません。
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