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WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

ピアノのレッスンを拒む→弾きたい! 

 桃のお節句。 簡易ちらし寿司でも作ろうかと思ったものの、その気力無し。 明日はパンケーキの日なのですが、その材料も買わずに帰ってきてしまいました。

 
 ピアノを教える、ということ。

 資格の類はあるものの、誰でも『教える人』になれる世界です。
 事実、私の生徒は、グレード2(ブルグミュラー前半レヴェル)しかやっていない人にピアノを習い始めました。
 その先生は私よりもレッスン費が安かったからです。

 でも、私から見ると、ピアノを弾く為の土台は何一つ教えていなくて、ゼロどころか、マイナスからのスタートでした。 となると、その先生に習っていた半年間は、本当に安い、といえるのでしょうか? 子供も私もとっても苦労しています。 

 
 9月にレッスンを始めた中に、当時4歳、2週間前に5歳になった女の子がいます。
 彼女には、一つ上のとっても賢く、しっかりとしたお兄さんがいます。 お兄ちゃんも9月から教えていますが、その前に半年ほど、この子も他の先生に習っていました。 これは、実はかわいそうだったケースで、その当時私が教えていた生徒が私のことを紹介して下さったのですが、その時私は骨折の真っ只中。 片手では、とてもではないですが、導入の指導はできない。 その時私が住んでいたところから、そのお宅に通うのも難しい、ということで、お断りをしてしまいました。 ですが、夏頃もう一度お問い合わせを頂き、私も引越しをした後だったので、お引き受けしました。

 半年間お兄ちゃんが習った先生は、楽譜はあるものの、音を読ませず、指の形も注意されたことがない。 音楽の経験はないものの、何も弾けていない、と感じたご両親の考えで私の生徒になりました。

 クリスマス前から、お兄ちゃんはピアノのレッスンを拒否しています。 先日は、カーテンの後ろに隠れていました。
 それに伴い、妹も泣くようになりました。

 現在でも、クラシックの音楽家の名前が浮かばないような国からの移民家族です。 ピアノの演奏も聴いたことがありません。 この民族を現在数家族教えていますが、クラシック音楽を家で聴いたことはない。 でも、ピアノを習わせたい。 まさに、高度経済成長期の昔の日本のようです。

 レッスンを拒否され、毎回なきそうな顔。 
 だったら、と思って、まずは、このピアノ、という楽器からどんな音がでるのか知ってもらうことにしました。
 シャブリエのスケルツォ・ヴァルスとか、ショパンの華麗なる大円舞曲から抜粋で、演奏。
 子供たちの顔がどんどんと変わっていきました。
 『ピアノを弾きたい!』という気持ちになったようです。

 その時のレッスンはうまくいきましたが、クリスマスホリデー後の最初のレッスンの日、お母様からお電話。
 子供たちは全く、ピアノに触れなかった、ということ。
 そこでお母様と話して(その前に一度ちょっと弾いた時は、お母様はお仕事で不在)、その日のレッスンを、『ピアノを聴く日』にすることにしました。

 グレード1、5の楽譜を持参し、その中から2曲。 そして、本気モードで、子供たちに、ゆっくりな曲、速い曲、などとリクエストをもらいながら、私のレパートリーから抜粋。

 4歳だった妹は、どんどんと目の輝きが変わっていきました。 ピアノを弾きたい、と言い出し、レッスン成功。
 彼女は、初めて、ピアノ、という楽器がどのようなものかわかって、弾けるようになりたい、と思えたのです。
 お兄ちゃんは、『弾けるようになりたい』という気持ちにはなったものの、楽譜を読むことに抵抗がある。 最初が楽しかったから、起こってしまった問題。 
 二人には、ピアノを弾くには毎日の練習が必要。 最初は10分でよいから、忘れないうちにピアノを触る、という約束。 妹の方は、弾きたい気持ちが強くて、しっかりと練習ができるようになっていました。

 
 1月末だったと思いますが、再び問題発生。 伺ったら二人とも泣いている。 ナニーのおばあちゃまが手を焼いていたので、妹のところに行って、手を差し出したら、私に素直に抱っこされ、私の背中をちゃんと掴んできました。
 きっと、年子のお兄ちゃんが泣いているから、自分もそういう気持ちになってしまったのかな?と思って、
「どうする? ピアノ聴きたいな」と聞いてみたら、弾きたい、とのこと。
 さっきまで泣いていたのが嘘のようなレッスンができました。
 指もしっかり、楽譜もしっかりと読めます。

 この日、言葉が半分しか通じないおばあちゃまが、初めて帰り際に私に笑顔を下さりました。 あの笑顔がどれだけ嬉しかったことか。

 妹の方は、その日以降、順調。 どんどんと吸収していきます。
 そして、よく練習してあります。
 お兄ちゃんは、まだまだ壁があります。 あせらず、壁を取ってあげたい。 でも、だからといって、楽譜を読んであげることはしません。 それは、彼のためにならないので。 読んではあげないけれど、もちろん、読むための手助け、ヒントは毎回しています。 とても賢い子なので、きちんと読めます。 気持ちしだい。 ちょっと上手くいきかけたこともあったので、それはまたいつかここに。

 今回私が学んだことは、練習してこない、という裏には、もちろん、時間的な物理的問題の時もありますが、練習の意図、ピアノってどういう音がでるのか、ピアノを習ったら、どういう音楽が奏でられるようになるのか、がわかっていに、ということ。目標、というか、弾けるようになりたい、弾きたい曲がある、というものがない。

 私がみていて思うのは、兄弟で習う場合、3つくらいの年の差があれば、下の子の進度が速い、ということ。もしくは、趣味でもご両親がピアノを弾く場合。
 ピアノ、という楽器からどういう音楽を奏でられるようになるのかわかっているからなのですね。 きっと。

 
 ピアノを習っている子がピアノの演奏を聴いたことがない(発表会以外で)、という問題は以前から感じていました。
 昨年の夏、私は、ピアノを習っている子達に、有名曲、アニメ音楽ではなくて、ブルグミュラー、子供たちが弾くような教本、イギリスのグレードの曲など、イギリスの子供たちに人気が高い曲、など+ショパンやベートーヴェンなどのコンサートをしたら、少し違うのでは?と思って、いくつもの日本のピアノ教室(個人ではなく)に問い合わせをしました。 が、返信は一つもありませんでした。 仕方がありませんね。 日本での実績ゼロ、有名国際コンクール入賞ゼロですから。

 今回のこの兄妹のケースを経験して、もちろん、全ての子供たちに共通するなんては思っていませんが、ピアノを習っているのにピアノの演奏を聞いた事がない、ということが少しでも減ったら、と思わずにはいられません。
 イギリスでこれができたら良いですが、何分環境的に難しい。 日本と違って、個人が気軽に借りられるホールがほとんどありません。

 長くなりましたが、書き残しておきたい出来事だったので。
 

Posted on 2014/03/03 Mon. 23:10 [edit]

category: 音楽

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