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WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

モスクワ・シティー・シンフォニー・ロシアン・フィルハーモニック コンサート(1月21日) 

 いつ以来か?と思うほど久々のロイヤル・フェスティヴァル・ホール(RFH)へ行ってきました。
 RFHの年間予定表には載っていなくて、UK-Russia 2014の一環として行われたコンサートでした。
 非常に売れ行きがよろしくなかったようで、方々で超割引チケットが出回ったようです。 私もそれでお声を掛けて頂いてこのことを知り、行くことにしました。

 きちんと読まない私は、指揮者の名前(ファミリーネーム)を見て、私が気に入っている指揮者だったので、大喜びで行ったのですが、ファーストネームが違いました。 よって、まったく違う人でした。 が、これが、また良い音楽で、行った価値大いにありです。
 ただ、私の耳は、ロイヤルオペラハウスオーケストラのバレエ上演のオーケストラの音に侵されておりますので、少々怪しいこともあるかとは思います。 やはり、完全に耳が侵略される前に、オケのコンサートへ行かなくては駄目だ、と思うばかりでした。

 
 モスクワ・シティー交響楽団ロシア・フィルハーモニック(Moscow City Symphony Russian Philharmnic)

 指揮: ドミトーリ・ユロウスキ

 プログラム:

 プロコフィエフ: 『シンデレラ』組曲 第1,2,3番より抜粋
      序曲
      シンデレラが箒と踊る場面
      第2幕のグランド・ワルツから12時の鐘、幕
      第3幕の義姉妹が帰宅、オレンジ
      終曲

 プロコフィエフ: ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 
    ピアノ: アレクサンダー(アレクサンドル)・ギンジン
        アンコール: ラフマニノフ: プレリュード 作品23-5 ト短調

 ラフマニノフ: 交響曲 第2番 ホ短調 作品27

 アンコール ストラヴィンスキー: 『火の鳥』 より 凶悪な踊り



 頂いたお席は、前から2列目、舞台向かって右側。 自分では絶対に買わないような席(前過ぎる)です。 が、これはこれでおもしろい経験でした。 前述の通り、指揮者の名前を間違っていた私は、イケメンマエストロのお顔を堪能できるぞ!と思っていたあてが外れました。

 まだ創立されて10年ちょっとの若いオーケストラです。 
 私にとって新鮮だったのが、オーケストラのメンバーの衣装が、制服だったこと。
 最初に舞台に入ってきた女性が、きれいなシルエットのフレアー部分に黒のラメの生地が使われているドレス。 さすが、このキラキラさは、ロシア!と思っていたところ、次の女性も、また次の女性も同じ。  バラのような立体模様があるジャケットを着ている人も。 男性も、DJ、テイルではなくて、縦襟の制服でした。


 『シンデレラ』は、抜粋、とだけなっていて、プログラムにも、詳細なし。
 組曲版を私はよく知らないので、ここに書いたプログラムは、実際のタイトルではありません。 あくまでも、バレエでの使われている場面です。

 序曲が始まり、あの息の長いフレーズのロシアンな音楽的流れが心地よいばかりでした。
 非常に繊細な造り。 席の関係上、バランスは良いのか悪いのかも実際にはわかりません(どうしても、目の前のチェロとダブルベイスの音が大きく聴こえてしまう)。 ですが、ドキドキ、ワクワクさせてくれる音楽。 ワクワク、とは楽しいということではなくて、これから一体何が起こるのであろう?この序曲の後にはどんなストーリーが待っているのだろうか?という、よく知っている音楽、バレエなのに思わせてくれました。 正直、ロイヤルオペラハウスでは、ここまでの感情はなかなか味わえません。 どうしても、惰性で弾いていることが多いオーケストラですから(バレエの時)。
 誤解無きよう言っておくと、時折、ロイヤルオペラハウスから世界各地のシネマに、ライブ(日本の場合は時差の関係上翌日)が放送されますが、あの時は、オーケストラの演奏は、世界用で、普段とは演奏の質が違います。

 
 どの曲が演奏されるのかわからずに聴く、というのは、おもしろい経験でした。
 3つの組曲からの抜粋ですが、今回演奏された6曲は、バレエのストーリーの順番でした。

 グランド・ワルツ(第1幕最後)は、絶対に入るでしょう、と思っていて、あたりだったのですが、途中から違う。 第2幕の、シンデレラの魔法が解けていく場面の方でした。

 王子様と踊っていたシンデレラが、12時の鐘に気がつく寸前の部分、オーケストラのほどよい緊張感、場面が鮮明に浮かび上がってくる音楽でした。
 そして、12時の鐘が鳴り終わった直後の、溶けていくような音楽。 その対比が目の前には、ダンサーはいないのに、全て見えてくる。 もちろん、踊るためには、難があるテンポもありましたが、このオーケストラ、指揮者でバレエを観てみたい、と思わされました。 
 
 終曲では、最後の部分、『ロミオとジュリエット』と同じく、ハ長調で終わることに、今更ながら気がつき、あのプロコ特有の、転調満載の楽譜の後のドの音が、全てを物語るのかなと初めて、このシンデレラを聴いていて思う部分がありました。
 最後の最後、数年前の、ロイヤルオペラハウスでの吉田都さんの引退公演の時、シンデレラと王子が客席に背を向けて中央の階段を上がっていくその直前に一瞬客席の方を何ともいえない素敵な表情で振り返ったのが蘇ってきました。

 どちらかというと、普段聴くのは、プロコのバレエ音楽では、『シンデレラ』よりも、『ロミオとジュリエット』です。 が、今回、『シンデレラ』の音楽の良さを伝えて下さった演奏でした。


 
 続いて、最後に生で聴いたのはいったいいつなのか思い出せないほど久々な、プロコの3番。
ピアニストのギンジンも初めて。 ギンジンと言えば、ラヴェルの『ラ・ヴァルス』の編曲で知られていますし、私も、弾きたくて、ラヴェル本人の元のピアノ譜と、ギンジン編をもっています。 昨年の骨折の前に譜読みをし始めていたのですが、怪我により、そのままになってしまいました。


 この性格なので、ギンジンの演奏をYoutubeで調べたこともなければ、画像を探したこともありません。
 先入観なしに、ただ、『ラ・ヴァルス』の解説を読んで、30代後半から40代前半くらい、という認識でいました。 なんとなく、ルガンスキーのような風貌かな、と思っていました。
 よって、舞台に出てきた姿を見て、非常に驚きました。
 50代だったのか!と思ったのです。 演奏もどっしりとして、風格があり、ルガンスキーというよりも、風貌は10年ほど前のドレンスキー教授のよう。
 
 家に帰ってから、私はどうして年齢に関してとんでもない勘違いをしていたのだろう?と思って調べてみたら、やはり私の記憶は正しい。 私よりも、たった2歳年上。 ショックです。 
 私の同じ年のロシア人の友達(男)も、40代半ばに見えるそうですし、私だって、師匠に初めてお会いした時は、先生は42歳だったのに、てっきり、60歳をとっくに過ぎた、おじいちゃん、と思っていました。
 ずいぶん、ロシア人の実年齢に近く予想できるようになってきた、と思っていたのですがとんでもありませんでした。


肝心の演奏ですが、場所的に、ダイレクトなピアノの音が聴こえてくることもあり、オケとのバランスなどはなんとも言えませんが、これぞ、ロシアン・スクール。
 モスクワ系ですが、たたきすぎない、でも深い音。

 あのロシアの長い息のフレーズ感。 ニュアンス、良い意味での緊張感。 私が基礎から受けてきた教育なので、聴いていて心地が良かったです。

 音の粒のそろっていること! 早いパッセージも音の質が抜けない。
 あっという間の30分でした。

 アンコールに、ラフマニノフのプレリュード。 これも、コンクールだったら駄目な演奏ですが、コンクール反対派の私には、非常に好きな演奏。 中間部も、感情に任せて歌わせるのではなく、理性ある揺らし。 でも、決して計算しつくしたものではありません。


 休憩後のラフマニノフの交響曲第2番。 ベタですが、大好きな曲です。


 結構、オケに委ねている部分もありましたが、大きく捕らえた指揮。
 風貌とは違って、非常に繊細。 繊細すぎて、もう少しパワーが欲しいところもありましたが。
第2楽章の切れのよさ、なんといっても、第3楽章の入り。
 あの美しいフレーズの入り方は、ロシア独特。 私も、ピアノで散々、モスクワのイリーナ先生、師匠からしごかれました。
 
 あそこまで、心が熱くなった演奏を聴くのは久々。
 幸せ、という一言です。

 アンコールで、ストラヴィンスキー。 バレエの情景が鮮明に浮かんできました。
 イヴァンがカッチェイの魂の卵割る前の瞬間の音楽的緊張感。 
 ほぼアタッカで次の子守唄が演奏されますが、今回は、子守唄なしだったので、変な感じはありました。

 私の目の前が、ダブルベイス(コントラバス)。 第1奏者の方のボウイングが、優れていました。 他の奏者とは明らかに違う。 

 ロンドンはコンサートがありすぎて、結局のところ、あまり行きませんが(カーディフ時代は、数が少なかった分、貪欲でした)、こうしてよいオーケストラを聴いて、耳をリセットしていかないと、ロイヤルオペラハウスオーケストラ、バレエ通常ヴァージョンばかりを聴いていると良くないと思うばかりでした。

 
 

Posted on 2014/01/21 Tue. 23:53 [edit]

category: エンターテイメント

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