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WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

トリフォノフのリサイタル@ウィグモア 

 薄気味悪いほど、暖秋です。
 今日は帰りがだいぶ遅かったのですが、それでも、ノースリーブのワンピース、薄いカーディガンにショールを羽織るとちょっと暑く思うほどでした。 上着も持たずに、半袖で歩いている人もちらほらと見かけました。

 とっても久々に、ウィグモア・ホールへ行ってきました。 いつ以来でしょうか?
 ロイヤルオペラハウスは、教えで遅くなってぎりぎりで滑り込んでも大丈夫なのですが(駅からも近いですし)、他のコンサート会場はそうもいかないので、なかなか行くことができません。
 
 今日は、実は、オペラハウスで土曜日に第1幕を見逃した『ドンキ』のキャストを観に行くか迷ったのですが、ウィグモアへ行くことにしました。

 2011年のルービンシュタイン、チャイコフスキーの第1位受賞の、ダニール・トリフォノフ(Daniil Trifonov)のリサイタルでした。

 
 プログラムは、
 
 ストラヴィンスキー: セレナーデ イ長調
 ドビュッシー: 映像 第1巻 より、『水の反映』『動き』
 ラヴェル: 『鏡』より 蛾、 悲しき鳥たち、 洋上の小船、 道化師の朝の歌
 
 シューマン: 交響的練習曲 作品13

アンコールが3曲ありましたが、知らない曲。 スクリャービンのプレリュードあたりか?とも思うのですが、わかりません。

 
 コンクールを毛嫌いし、結果すら見ていなかった私は、2011年のチャイコンの優勝者が誰かも知りませんでした。 
 先日、2011年のルービンシュタインのコンクールの映像をYouTubeで観ていて、誰が優勝者かも知らずに、私が興味を持ったのが、トリフォノフでした。 
 良いタイミングでロンドンで演奏することを知ったので、行ったしだい。

 
 ストラヴィンスキーでスタートしたコンサート。 
 タイトルは知っていたものの、聴くのは初めて。 
 トリフォノフは、座ったら結構すぐに弾き始めました。 親近感が・・・
 
 この曲は、ストラヴィンスキー色が濃い。 ストラヴィンスキーに関しては、バレエで馴染みが強いので、バレエで聴いている曲が見え隠れしているように私は思いました。
 トリフォノフの、芯がしっかりとしているけれど、決して叩かない、音色豊かなピアノ。 
 いつもなら、手が見えないけれど、音が良い向かって右に座ることが多いのですが、今回は、とにかくチケットの残りが無くて、手が見える側でした。
 遠めにも、私が受けてきた教育と同じような手の形。 
 
 
 自分では弾かないものの、私は、この曲集は大好き。
 特に『水の反映』が好き。 ロシアンスクールのトリフォノフが、どのようにドビュッシーを弾くのか。
 繊細で、音色豊かに、軽いけれど、芯がしっかりとしたドビュッシー。 私が指導されてきたドビュッシーと同じ。 私と彼は違うものの、カーディフの大学時代、フランスでちょっと指導を受けてきた、というピアノ科主任に、「それは、ドビュッシーではない」と言われ続けた弾き方でした。
 
 これは、言い出したらきりがないこと。
 トリフォノフのドビュッシーは心地よかったですが、今年1月に日本で聴いた、フランス流の、菊池君のドビュッシーと対照的。 どちらも素晴らしいし、どちらも好きです。 

 弱音での細かいパッセージが非常に美しい。
 
 『動き』は、切れがあり、音の粒が素晴らしい。 私には、もう少し躍動感がほしいような気がしなくもありませんでしたが。

 
 続いての、ラヴェルの『鏡』 なぜか、第5曲目を外して、最初の4曲のみの演奏。
 ほぼ4曲を間を空けずに続けて演奏。
 
 とにかく、タッチが繊細。
 特に、『悲しき鳥たち』での冒頭の音の緊張感。 そして弱音。
 
 『道化師』は、私の解釈とは違ったものの、全体的に、前半を通して、私の考えと非常に近い。 これらの曲は私は弾いていません。 ですが、自分だったらどのように弾くのか、ということを常にリサイタルを聴きに行くと考えてしまいます(だから、非常に疲れるので、段々リサイタルを聴きに行くことから足が離れてしまう)。 
 もちろん、彼のテクニックには私は足元にも及びません。 でも、音色の変化、音楽の流れのもって行き方、おこがましいかもしれませんが、非常に似ている。
 計算しつくした音楽ではなく、即興性がある。 でも、強い説得力。

 
 今日は、誰かに会うでしょう。 と思っていたのですが、会場に着いたところで、私の母校のピアノ科主任の先生とバッタリ。 そして、休憩時間に、顔を合わせたのは、同じ大学だった、年下の友達! 私が修士2年目の時に、学部で入学してきた子。 でも、彼は非常に優秀。 その活躍をちょこちょこ見聞きしていましたが、会うのは5年ぶり。 うれしいことにあちらも私を覚えていてくれて、しばしおしゃべり。
 トリフォノフのリサイタルに何度か行っている、という彼は、今日の前半について、また私とは違った見方をしていて、興味深く話をききました。 顔が見える側に座っていた彼によると、トリフォノフは、顔芸が凄いらしい。 ラン・ランを超えていたそうです・・・
 
 卒業して5年、同級生は、ほとんどが国に帰ってしまった私は、音楽仲間、というのは、もうほとんどロンドンに残っていません。 だからこそ、こうして、カレッジ時代の友達に会えると嬉しい。 


  後半は、シューマン。
 これまた、大好きな曲です。
 
 トリフォノフは、しばしば、頭を譜面台の高さよりも下げて前傾姿勢で弾いていました。 普通、ああいう格好になると音に変な重さ、硬さが加わると思うのですが、それを感じないのです。 不思議。
 
 良い意味での緊張感漂う中、あっという間にフィナーレまで進んでしまいました。

 ファツォーリのピアノを使用でしたが(ウィグモアにファツォーリが入っているなんて知りませんでした。 それとも、持込? ショパコンでは、ファツォーリを使用したようですし)、私的には、前半の方が、シューマンよりもファツォーリにあっていたような気がします。

 
 おこがましいようですが、音楽的に、自分のやっていることは間違ってはいない。 私の場合は、テクニックをどうにかしなくてはいけない。 と思わせてくれるリサイタルでした。
 そして、あの集中力と精神力。 普段の私を知っている方は驚くと思いますが、ピアノを弾く時の精神力の弱さと、自信の無さ。これをどうにかせねば、と思わさせられました。

  今年は、反省して、少しは音楽のコンサート、リサイタルにも足を運びたいと思います。 サウス・バンク、ウィグモア、バービカンが、オペラハウス並みに行きやすい場所だと助かるのですが・・・(いつも、教えの後に駆け込み。 オペラハウスは、私の行動範囲からだと非常に行きやすいのです)
 
 

Posted on 2013/10/08 Tue. 23:08 [edit]

category: エンターテイメント

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