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WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

ケンブリッジでのコンサート 

小雨がぱらつく中、2年ぶりにケンブリッジでコンサートでした。
 こちらの教会で最後に弾いたのは2011年6月の日本へのチャリティーコンサートの時。
 このランチタイムシリーズで最後に弾いたのは、ちょうど2年前のことです。
 2006年から演奏させていただいて、途中抜けた年もありますが、ランチタイムコンサートでは6回目になります。

 いつもは、30人ほどのお客様なのですが、今回は、なんと70名以上いらしてくださったようで、プログラムが足りなかったそうです。 この天候にもかかわらず、嬉しい限りです。

130320 cambridge


 木の後ろにあるのが、演奏した、Emmanuel United Reformed Church。
 中は改装してあり、教会部分の周りがカフェになっています。
 私も、演奏後ランチをごちそうになってきました。 久々のキッシュ、ホームステイ時代のおばあちゃまの味です。
 ここのカフェでは、障害者の方々が多く働いていらして、社会的自立を考えていらっしゃるのが素敵なことです。

130320 cambridge


 どんな楽器でも、与えられたら演奏するのがピアニスト、と思っていますが、状態の良いピアノに出会えるのは本当に嬉しい。
 ここは、シゲル・カワイが入っています。
 日本だったら、ごく普通の状態のピアノだと思いますが、イギリスの教会では、輝くような楽器。
 鍵盤が動くか、とか考えずに、音楽そのものに没頭できる、ありがたい楽器です。

 プログラム

 ドビュッシー: アラベスク 第1番
 ショパン: バラード 第1番 ト短調
 チャイコフスキー: ロマンス ヘ長調 作品51-5
 ベートーヴェン: ピアノソナタ ハ短調 作品111

 アンコール
 シャブリエ: スケルツォ・ヴァルス


 12月についで、久々2度目のベートーヴェンがプログラムのメインでした。
 基本的に、ランチタイムでは、このような重い曲を避けているのですが、たまには。
 ということで、最初は有名なアラベスクからのスタートでした。
 
 1月に菊地裕介さんのフランス物を聴いて、Youtubeで彼の演奏を聴きまくり、そのフランス物の響が耳に残る中で、私のロシア風フランス物。
 変に意識をしすぎたところもあるのが反省。 あのようなフランス奏法は、やはりきちんと習わなくてはできませんね。 でも、ウィーン式で躓いて、ロシアが見事に手にぴったりな私は、今ここで他の奏法を入れる勇気はなく。 知識として、きちんと知りたいな、とは思いますが。

 ショパンのバラードは、なかなか良い演奏ができません。 やはり、これも有名曲、ということで、変なプレッシャーが。
 
 チャイコのロマンスは1月にアンコールとして弾いて血が引く思いをしましたが、プログラムに入れるのは、昨年6月以来のこと。
 1月、2月に観まくった、ロイヤルバレエでのクランコ振付の『オネーギン』。 この第3幕で、タチアーナとプリンス・グレーミンが踊る曲(赤いドレス)。
 今日は、意識をしていなかったのですが、ずっと、マリアネラのタチアーナと、その周りで田舎娘だったのに、美しい人妻になったタチアーナを見て自分の過ちに気が付く、ティアゴのオネーギンの姿が重なり、今までとは違う演奏になったと思います。
 そして、途中は、周りで二人を見ている客人たちの中から、昨年12月に入団した、アナ・ローズの表情が浮かんできました。 彼女は、もちろん、年齢も若いですが、あの美しく年を重ねた人妻への憧れというか、そのような表情があったのです。 それが、見事にフィットするフレーズがあったようです。 ですが、この映像、というのは、演奏中に知らないうちに現れるものなので、残念ながら、どの部分でそれを感じたのかは、もう覚えていません。

 
 そして、最後は、ベートーヴェン。
 どうして、時代順にしないで、ベートーヴェンが最後か、というと、ベートーヴェンの後に、休憩を入れずに他の曲を弾くことが私にはできないからです。
 これは、魂が抜けていく曲なので、その後は放心状態になってしまうのです。 
 
 またバレエですが、先週最終日を迎えた、クリストファー・ウィールドンの新作(ブリテンの曲を使用)が、別にストーリーがあるわけではないのですが、私が感じ取ったストーリーがこのベートーヴェンに見事に重なるな、と思っていました。

 今日は、リハーサルの時と本番の時の照明が変わってしまっていて、本番でピアノの前に座ったら、自分の影が鍵盤に映り、わけがわからなくなる、ということが起きました。
 こういうこともあり、第1楽章は、とにかく弾ききった、という状態。
 第2楽章の方が余裕がありますし、大好きなので、曲に没頭できました。
 
 ここで、意識はしていなかったのですが、いつものように、ジーザス・クライストが十字架を背負って歩く様子が目に浮かび(中学の時の聖書の授業で見たビデオそのもの)、天使が舞い降りてきた、と思ったら、途中から、ロイヤルバレエのマリアネラが浮かび、フェデリコ(エンジェル)、ニァマイア(死の使い)が現れてきました。
 上述のウィールドンの作品とは内容が違ってくるのですが、マリアネラ(クライスト)を、エンジェルと死の使い(地獄への)が取り合っている、というか、そういう感じ。 
 こうなると、私の頭は空っぽにして何も考えません。 目の前に現れた情景を辿っていくだけ。
 会話が聞こえて、動作も見えてくる。 これほどおもしろくて、最高の時間はありません。
 
 最後は、天国にあがっていくのですが。

 今までこの曲を弾く時には、エンジェルが導いてくれていました。 でも、外からではなく、中からの声がでてきたので、今日は、この第2楽章17分、特に、第2楽章後半の永遠に続くように思われる9ページが、あっという間に終わってしまい、どこか飛ばしたか?と不安になるほどでした。

 終わった後に声をかけてくださったお客様も、このベートーヴェンは初めて聴いたけれど、凄く良かった、興味深い、とおっしゃって下さる方が多く、嬉しかったです。

 
 ベートーヴェンの後に他を弾くのは辛いので、アンコールはしない予定だったのですが、昼間からこのベートーヴェンで終わるのもどうか、と思い、定番のシャブリエ。
 引っ込んだり、お辞儀をしたりで歩いたので、多少切り替えられ、最初の2フレーズはイマイチでしたが、その後は、いつもを取り戻しました。

 
 多少の雑音には、だいぶ慣れ、気が散ることもないのですが、今日は、ビニールのようなガサガサ音がずっと。
 引っ込む時に見てみたら、最前列に雨の時の自転車用の雨合羽、というか、ズボンと上着をお召しのままの方が。
 上着だけでしたら、それほどのガサガサ音にはならないのですが、さすがに、ズボンもだと、ああなるのですね・・・
 
 いや、クラシックのコンサートは敷居が高い、何を着ていけばよいのかわからない、と言っている日本よりも、その敷居が低いイギリスのクラシックコンサート界の方が私はずっと素敵だと思います。 ガサガサ音は、ちょっと困りますが。

 ちょこちょこの事故はありましたし、反省点も多いのですが、2005年3月7日に、初めてウェールズのブレコンでソロのコンサートをさせて頂いてから、今日のコンサートで9年目に入ります。 気持ちの良い9年目スタートを切ることができました。
 今日の会場は、長い間演奏させていただいている場所。 4月にも、10回以上演奏させて頂いている教会でのコンサートがありますから、新しい会場での演奏はそれはそれで楽しみで嬉しいことですが、こうして、何年にも渡ってお声をかけて頂ける事は、本当に感謝です。

Posted on 2013/03/20 Wed. 23:39 [edit]

category: 自分のコンサート

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