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WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

リストのロ短調ソナタで、椿姫 

 昨日から、ロイヤルバレエのアシュトン・ミックスビルが始まりました。

 『ラ・ヴァルス』 ラヴェル作曲
 『タイスの瞑想曲』 マスネ作曲
 『春の声』 シュトラウス作曲

 『モノトーン1、2』 サティー作曲(1、グノシェンヌ 2、ジムノペティ)

 『マルグリットとアルマン(椿姫)』 リスト作曲 ピアノソナタ ロ短調


 というプログラムです。
 タイスも春の声も、サティーも、タイトルを知らなかったとしても、どこかできっと聴いたことがあるような、名曲集のようなプログラムです。

 一番最後の『マルグリットとアルマン』について、音楽的観点で、ちょっと書いてみようと思います。



 リストのピアノソナタは、30分近くかかる単一楽章のソナタ。
 バレエでは、オーケストラ編曲したものを使いますが、ピアノはそのままリストが書いたものを演奏。 要は、ピアノソロにオケをかぶす。 ところどころ、ピアノソロになっている部分もあります。

 プログラム、アシュトンの作品本からの情報ですが、アシュトンはデュマの小説、『椿姫』を題材にしていたバレエを考えていた。
 ある日、ラジオから流れてくる、リストのソナタを聴き、一瞬にしてこれを用いることを決めたそうです。
 
 アシュトンが調べたところ、デュマの『椿姫』のヒロイン、マルグリットは実在する人物(名前は変えてあります)で、デュマが愛した女性で、高級娼婦であった。 彼女は23歳で亡くなったものの、リストとも、愛人関係であった。
 デュマの小説が書かれたのが、1852年、リストのソナタが書かれたのも1852ー53年。
 よって、深い関係が見えてくるのです。

 
 ノイマイヤーが振り付けたものは、ショパンのピアノ曲(ソロ、協奏曲)の抜粋を全3幕(2幕だったかも・・・)にしたもの。
 アシュトンの振り付けは、この30分の曲に全てを凝縮しています。
 ですが、ストーリーを語る。 この『椿姫』のストーリーを知らなくても、登場人物をちょっと知っていたら、理解できてしまう。

 簡単にストーリーを書くと、高級娼婦のマルグリットと青年アルマンが恋に落ちる。 だけれど、アルマンの父親が彼女に彼から去るように話す。 彼女は涙を飲んで、彼から離れる。
 お金がほしいのだと勘違いしたアルマンは、マルグリットのパトロンの大公や他の男たちがいるところで、彼女の顔にお金を投げる。
 彼女は病がひどくなり、最後は、アルマンの腕の中で息を途絶える。

 一つの小説を30分にまとめているのですから、無駄はありません。

 リストのソナタは、難曲。 そして、偉大な作品。
 ですが、あたかもこの曲がこのバレエの為に書かれたのか?と言いたくなるほど、ぴったりです。
 もっとも、ピアノソロとして弾くよりも、かなりテンポを落としています。
 ただ、今回の指揮者は、音楽が停滞してしまう人なので(私は初めてみる指揮者)、前回上演時よりも、かなり遅く感じますが。

 たとえば、中間部で、アルマンの父親が、マルグリットに、「うちの息子と別れてくれ」「彼と一緒にいさせて下さい」という会話(が聞こえてくるような)の部分、見事に言葉が音楽に当てはまります。

 私のレッスンを受けた(初級以上で)方はわかるかもしれませんが、よく、音楽上の会話/対話の話をします。
 レッスン中に、色々と考えるわけでもなく、こうしたものが沸いてでてくるのですが、やはり、これはバレエを観ているからだ、とつくづく思いました。
 私自身の演奏もそうですが、理解しても、それがすぐに音となって現れるかはわからない。
 それには、時間が必要。 でも、それをわかって弾くのとそうでないのでは、全く違います。

 『オネーギン』の時も思いましたが、一つの場面があって、短い間奏曲の後、全く違う景色が現れる。
 ピアノを弾く時も、キャラクターが変わる部分で、それを説明しますが、やはり、舞台を観たことがない子供たちは、それが通じません。 
 
 私にとって、バレエ鑑賞は、息抜きの時間よりも、色々なことを考える時間。
 とはいっても、今日だって、舞台で起こっていることを、心に留めていくだけで、精一杯。 目の前が霞んでくる。
 でも、終わった後、色々なことを考えるのです。
 そして、今はそれがすぐに音となってでてこなくても、私自身の音楽、教える時、引き出しの隅から、飛び出てくるようになる。
 学生時代は、遊ぶまもなく、がむしゃらに勉強をしましたが(やらないと、周りから非常に遅れをとっていましたから)、今は、違う方面からの勉強が必要な時なのかもしれません。
 
 といいながらも、リストのソナタは、昨年の今頃、オーディションの為に必死に勉強した曲。
 あの時、何度も何度もCDを聴いて、毎晩夜中3時頃まで練習をして、このバレエの動画を観まくった曲。
 電子ピアノでも、それなりの練習をやらなくては気がすまなかった。

 私は、あの時、ここの部分はああ弾いた、こう弾いた。 とまらないものがあります。 今夜の特に最後は、オケピットに飛んで、ピアニストのロブからピアノを奪って音を表現してみたかった。
 昨年弾いた時、演奏しながら、楽譜もめくったけれど、マルグリットの舞台が目の裏に浮かんで、ただただそれに導かれて演奏。
 夏にこの曲をサマーコースでイギリス人の先生に観て頂いたときには、バレエ用のテンポだったから、色々と直されましたが。
 昨年弾いたのは、必要だった後半だけ。
 今年は時間が取れそうにありませんが、やはり、このソナタはきちんと自分のレパートリーにしたいな、と久々に聴きながら思いました。
 
  
 この作品、そしてこのビルに入っている、ラ・ヴァルスと春の声とタイス、毎日上演してくれてもきっと私は飽きずに観続けることができると思います。
 
 
 

Posted on 2013/02/13 Wed. 23:55 [edit]

category: バレエ

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