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WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

『マノン』 リヤーン、 スティーブン、 リカルド 

 今日はグッド・フライデー。 今日から月曜日までが、実質的にイースターの連休です。

 

 昨晩の『マノン』、今まで観た中で、一番でした。

 昨日から始まって、6月4日まで、8キャスト、15回公演が行われる予定ですが、1回目であれだけのものをみせられると、無気力になってしまいます。


 『マノン』 ケネス・マクミラン振付、 マスネ作曲(マーティン・イェイツ編曲)


 マノン: リヤーン・ベンジャミン

 デ・グリュー: スティーブン・マックレー

 レスコー: リカルド・セルヴェラ


 ムッシューGM: クリストファー・ソウンダース

 マダム: ジェネシア・ロサート

 レスコーの愛人: ラウラ・モレーラ

 

 看守: ギャリー・エイヴィス

 

 高級娼婦: サマンサ・レイン、 小林ひかる、

         シャーン・マーフィー、 ラーラ・ターク


 踊る紳士: ヴァレリー・フリストフ、 ダーウィッド、 ベネット・ガートサイド


 顧客: トーマス・ホワイトヘッド、 アラスター・マリオット、 フィリップ・モスレー、

      平野亮一、 ヨハネス・ステパネク


 第2幕のズボンを履いた女の子: アイオーナ・ルーツ


 老いた紳士: ジョナサン・ハウエルズ


 乞食のかしら: ポール・ケイ

 乞食たち: リアム・スカーレット、ジェームズ・ウィルキー、ジョナサン・ワトキンズ、

        マイケル・ストーイコ、アンドレイ・ウスペンスキ、エリーコ・モンテス


 第3幕の女性たち: 金子扶生、 ターラ・ブリジット・バフナーニ、 クレア・カルヴェート、

             ベアトリス・スティックス・ブルーネル、 ナタリー・ハリッソン



 前回、2008年上演時に、私が一番気に入ったマノンはリヤーン・ベンジャミンのものでした。

 もちろん、キャリアが長い方ですから、それまでの経験を重ねた上での舞台です。

 47歳の彼女、少し顔に年齢が出るかな、というときもありますが、それでも、彼女の演技力がそれを消します。


 マノンに関しては様々な解釈をすることができます。 修道院へ送られる途中だけれど、彼女は行きたくない。

 自分が娼婦としての素質を最初から知っている人と、そうでない人、まずは2通りの解釈ができます。


 昨日のリヤーンは、自分の身を売る、というか、老いた紳士に自分にお金を払わそうとしている。

 でも、そのことに対しての悪意とか、モラルはどうかなんてことは、全く無し。

 彼の財布を受け取って、皆が居酒屋の中へ入っていって、マノンが椅子に座り、デ・グリューが踊る場面。

 リヤーンはその財布を最初は大事そうに抱え、その後ひざの上に置いて、その上に両手を乗せる。

 段々、デ・グリューに惹かれていき、彼に、手にキスされた後は、その手の甲に自分の唇をのせ、段々、財布から手が離れる。

 最後、デ・グリューが自分の前に跪く時に、その財布を地面に放す。


 この部分で、彼女は、それまではお金、富みを望んでいたけれど、それよりもデ・グリューへの愛が強くなったことを表しています。


 続いてのベッドルームの場面は、パッション。 とてもとても47歳の女性にはみえません。

 

 デ・グリューが出かけ、レスコーとムッシューGMが入ってきて、ムッシューが彼女に、豪華なガウンと、きらきら光るネックレスを与えます。 彼女は一瞬はうれしそうにする。 でも、彼女が欲しいものはこれらではない。

 もちろん、彼女がすべきことは知っています。 だから、ムッシューに挑発することもする。 いや、挑発ではなくて、自分がすべきことをしているだけなのかもしれません。


 第2幕で、マダムの館でのパーティーの場面、ムッシューに連れられて入ってきたマノン、誇り高い顔ではありません。 どこかさびしげ。 デ・グリューに向ける眼差しも、ごめんね、といっているように見えました。

 舞台向かって右側手前のテーブルのところで、ムッシューは座るのですが、隣、または自分の膝の上に彼女を座らせます。

 その時、リヤーンは、ムッシューに対しては笑みを向けているけれど、絶えず、反対側にいる、デ・グリューのことを気にしています。 ムッシューに足をなでられても、デ・グリューしか見えていない。


 この部分でこのような解釈をするのを、私は初めて観ました。

 だからこそ、一番最後の沼地のパ・ドゥ・ドゥがより意味が強いものになりました。

 

 第3幕で、港に着いた時、すでにかなり憔悴しています。 看守にレイプされる時も、抵抗はするけれど、もう力も残り少ない。

 だから、沼地のパ・ドゥ・ドゥでは、徐々に力が無くなっていき、最後のジャンプしながらのリフトで、デ・グリューの腕の中で亡くなる時、非常に自然でした。

 このバレエで一番つらいのは、マノンが亡くなった時。デ・グリューは彼女を床に寝かせるものの、まだ彼女が亡くなった事には気がついていないのです。 彼女の顔に手を乗せたり、腕をさすったり。 亡くなっていることを気がつかないのを観ているって、非常に心苦しいことです。


 

 デ・グリューのスティーブン、本当は28日にロベルタ・マルケス相手にデビューする予定でしたが、リヤーンの相手のエドワード・ワトソンの怪我により、デビューが早まりました。

 第1幕のヴァリアシオン、テクニック的にも素晴らしいものを持っていますから、非常に安定していました。


 実際、リヤーンとスティーブンは親子ほどの年の差です。 が、それをあまり感じさせない(スティーブンは、リヤーンよりも一つ年下の都さんと昨年度は踊っていましたしね)。

 今までのスティーブンは、うまいですし、キャラクターも考えているのがよくわかったのですが、今回は今までよりも一皮向けたように思いました。

 より観客に伝わるようになりました。


 が、今回は私はリヤーンにひきつけられすぎて、そこまでスティーブンの心理変化を読み取れなかったのが事実です。


 リカルドのレスコーは、前回上演時には見逃しているので、今回が初めて。

 きれの良い気持ちが良い踊り、キャラクター、興味深いものがありました。

 足首さえ伸びれば、もっと良いのですが。

 第2幕で、マダムのパーティーにデ・グリューと入ってくる時、レスコーは既に酔いつぶれています。

 その酔いつぶれ方がかなり凄くて、酔っ払いの踊りでは、本当に酔っているのか?というようなものをみせてくれました。

 愛人とのパ・ドゥ・ドゥも、踊りなれているラウラと、ということもあるのかと思いますが、かなりぎりぎりのところでやっていて、こちらがひやひやしてしまった部分も。

 

 ラウラはさすがの貫禄、というか、この役を踊りなれています。

 第1幕のヴァリアシオンは、少々きつきつしているように感じましたが、第2幕の方が良かったです。


 第1幕の乞食たちは、前回もやっているような人たちばかりだったので、そろっています。

 そして、皆活き活きしている。 これは、乞食たちだけではなくて、第2幕の娼婦の女の子たちもそうです。

 

 高級娼婦のひかるさん、前回とは違う役ですが、第2幕でもう1人の高級娼婦(サマンサ)と二人が競うようにして踊る場面で、あんなに活き活きと踊るひかるさんを初めて観たように思いました。


 ギャリー演じる看守は、非常に最低な男です。 自分の快楽しか考えていません。


 踊る紳士役、今年はデビューもあるようで、この公演では、ダーウィッドが踊っていました。 シンデレラの秋の精の騎士などでもだいぶ踊るのを見るようになりました。 まだ基本を守るから踊りもきれいですし、男性にしては股関節が柔らかくて、足も上がります。 まだまだ、踊ることができて嬉しい!というのが伝わる時期なので、観ていても気持ちが良いです。


 第3幕の港のオフィサーたちの妻?役で、4月に入団したばかりの日本人、金子扶生(ふみ)さんが、初舞台。(もしかしたら、第2幕で出ていたかもしれませんが) 初めてにしては堂々としていましたし、背も高め? コンクールで色々と賞を取っているようですし、これから楽しみにしています。

 

 というわけで、久々に、1、2、3幕全てで涙を流した舞台でした。

 

 新しいオーケストレーションだけは馴染めません。 いつも聴こえていたメロディーがなくなると、間抜け。 

 

 昨日、Before the Curtain up、春の祭典とマノンをアップしました。

Posted on 2011/04/22 Fri. 02:12 [edit]

category: バレエ

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