07 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 09

WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

バーミンガム・ロイヤル・バレエ 『シンデレラ』 

 昨夜観てきた、バーミンガム・ロイヤル・バレエの『シンデレラ』です。


 これは、昨年2010年11月末に現在のバーミンガム・ロイヤル・バレエの芸術監督である、デイヴィット・ビントリー(日本の新国立劇場バレエの芸術監督でもある)が振付したものです。

 初演1ヵ月後のボクシング・デーにイギリスでテレビ放送されたものですが、私はテレビが無いので、残念ながら観ていません。

 ロンドン・コリセウムでは、今週、6公演行いました。 今週はロイヤルバレエ関係のことが忙しくて、やっと観にいけたのが昨日の夜でした。


 ロイヤルバレエのレパートリーに入っているアシュトン版の『シンデレラ』とはかなり違います。 共通点は、一番最後、幕が降りる直前、シンデレラと王子が、客席に背を向けて、二人で寄り添いながら、舞台後方に歩いていくこと。


 アシュトン版とは違い、異母姉妹を男性ではなくて、女性が演じます。 原作に近く、その設定は、太っちょと、やせっぽっち。

 アシュトン版には出てこない、シンデレラの継母が出てきて、お父さんは、プロローグで一瞬出てくるのみ。


『シンデレラ』 デイヴィッド・ビントリー振付、 プロコフィエフ作曲 


 シンデレラ: ナターシャ・オウトレッド

 王子: ジョセフ・カリー(Caley)

 やせっぽっち: ゲイリン・カマーフィールド

 太っちょ: キャロル・アン・ミラー

 

 他


 

 アシュトン版が、イギリス人のウィットにとび、異母姉妹はシンデレラをいじめはするけれど、それは、ほとんどからかいに近いものがあるのに比べ、ビントリー版では、シンデレラはいじめられるイメージが強い。

 私にとって、アシュトン版は一番なじみがありますが、矛盾している部分、衣装の色の洪水、決して、これが一番好きなプロダクションではありません。

 ビントリー版の方がストーリーにより忠実、というような気もしますが、ストーリーに沿っただけで終った、といったようなイメージも残りました。 ですが、ジョン・マクファーランスによるデザインは非常にシック。 特に、現在ロイヤルバレエで上演されている2004年に一新された衣装、第2幕の舞踏会が私にはあまりにも色が子供っぽ過ぎる。 このビントリー版では、客人の女性たちは、黒。 ですが、黒の下に、紫、赤、グリーンなどの生地がレイヤーされていて、素敵です。

 ツアー・カンパニーらしく、全体的な舞台装置は簡素。


 一番の矛盾は、第1幕の最後、シンデレラがドレスを着て舞踏会へ向かう場面、馬車に乗ったところで幕が降りますが(馬車は動かない)、その時のドレスと、第2幕で舞踏会会場へ入ってくる時の衣装が全く違う。

 第2幕最後、シンデレラが12時の鐘の音を聞いて現実に戻る部分、きれいなドレスのシンデレラが一度袖に入ってから、元に戻ったシンデレラが舞台に戻ってくる。

 現在のアシュトン版では、ここの部分が非常に巧みです。 何度も観ている方が、このトリックがわからない、とおっしゃっていたことがあり、驚きました。


 

 序曲の間、シンデレラの母親の墓場で、シンデレラと父親がお墓の前に立ち、後の継母、異母姉妹が少し離れたところに立っています。 頭をうなだれるシンデレラの父親の肩に後の継母が手をかけて舞台袖へ。


 その後場面は変わって、キッチン。 裸足のシンデレラと、異母姉妹。 継母が舞踏会の招待状を持っています。


 キッチンに誰もいなくなった時、シンデレラは、戸棚の下の隙間から赤い箱を出してきて、そこには、お母さんの小さな肖像画、そして、きらきら光る、お母さんのダンスシューズ。

 そのダンスシューズを大切そうにはいて踊るのですが、しばらくすると、また異母姉妹たちが戻ってきます。

 

 再びキッチンにいなくなると、暖炉に火がつき、気がつくと、黒いぼろ布をまとった女性が。 シンデレラは彼女を椅子に座らせ、スープをあげます。 この女性は靴を履いていません。 シンデレラは、大切なダンスシューズを、彼女にはかせます。


 仕立て屋、などがきて、ダンス教師が、ダンスのレッスン。

 二人のヴァイオリニストが舞台上でレッスンの音楽を奏でるのはアシュトン版と一緒。

このヴァイオリニストの1人が、ケント時代から知っている人でした。 バーミンガム・ロイヤル・バレエの伴奏をしている、ロイヤル・バレエ・シンフォニアのヴァイオリニストのロブ。 彼とは、ロイヤル・バレエ・シンフォニアがロイヤルバレエの伴奏をする時、たまに劇場の横の道で何度か顔をあわせているのですが、驚きでした。


 皆が再びいなくなると、キッチンの後ろ側が離れていって、フェアリー・ゴッド・マザーが現れます。

この版でのフェアリー・ゴッド・マザーは踊るのではなくて、立ち役です。


 四季の精の踊り。 春の精が踊った後は、シンデレラに花の輪がかぶせられ、夏の精の後には、クローク。

 夏の精の後には、こおろぎとばったでしたっけ? あの曲でカエルとねずみが踊り、秋の精が踊ると、かぼちゃ。 冬の精の後には、きらきら光る靴。


 スターたち(16人)に見送られて、彼女は舞踏会へ。


 第2幕の舞踏会では、アシュトン版のような道化師は出てきません。

 よって、8組(だったはず)の客人たちが踊る場面が多いです。


 12時の鐘が鳴る直前にフェアリー・ゴッド・マザーが現れ、シンデレラに帰宅を促します。

 が、シンデレラは必死に、もう少し、もう少し、とお願いをするのです。 でも、もちろんそれは聞き入れてもらえません。


 12時の鐘がなり終わると同時に、元の姿に戻ったシンデレラが片方の靴を落として、会場から消えていきます。

 


 第3幕、アシュトン版と同じく、王子がシンデレラを捜し求めて旅する部分は省かれています。

が、幕開きで、何人もの女性たちが、あの靴を履くことにトライする部分があります。


 そして、シンデレラのキッチン。

 

 王子一向がきて、二人の異母姉妹、そして、継母までが靴を履こうとします。

王子が諦めて帰ろうとした時、それまで暖炉の前で背を向けて座っていたシンデレラが前に歩み寄り、靴をはいてみせます。 そして、もう片方が赤い箱の中に入っているのを王子に見せて、王子がその靴を履かせて、めでたしめでたし。


 

 最後のパ・ドゥ・ドゥはビントリーらしいリフトが多用されていましたが、それ以外はクラシックの振付です。


 異母姉妹、昨日のキャストは、どちらもプリンシパルの方々でしたが、太っちょの方、上半身も、足も太く見せるために、詰め物をしていました。 あれで踊るのは大変そうです。


 

 シンデレラを踊ったナターシャは、2007年7月までロイヤルバレエで踊り、同年バーミンガム・ロイヤル・バレエにファースト・ソロイストとして移籍し、プリンシパルにその後昇格。

 私は彼女が全幕バレエの主役を踊るのは、初めて見ました。


 幸運なことに、去年の8月から、昨日までの7ヵ月半の間に、アシュトン、マイケル・コーダー、デイヴィッド・ビントリー、マシュー・ボーン、と4つの違うヴァージョンのシンデレラをロンドンで観ることができました。

 どれもが魅力的。 違ったよさがありました。 と同時に、この誰もが知るようなフェアリー・テールのバレエ化、矛盾が生じてしまうところもあるし、このヴァージョンのここの部分と、あのヴァージョンのあの部分を組み合わせたらよいのに、という思いもあります。


 回数的には、やはりアシュトン版を一番多く観ているので、どうしても、他を観ながらも、アシュトン版の場面との対比をしながら舞台を観てしまいました。


 ロイヤルバレエは、7日から、再びアシュトン版の『シンデレラ』。 こちらは大爆笑したり、より、シンデレラの心情を追いながら観ることになります。

 どちらかというと、子供が好きそうな舞台デザインでもあります。


 でも、昨日のシンデレラ、是非違うキャストで観てみたいと思いました。

 バーミンガム・ロイヤル・バレエも来シーズンのクリスマスは、『くるみ割り人形』。

 よって、この『シンデレラ』が再演されるのは、少々後になるのでしょう。


Posted on 2011/04/03 Sun. 00:47 [edit]

category: バレエ

TB: 0    CM: 0

03

Comments

Comment
list

Post a comment

Secret

Comment
form

Trackbacks

TrackbacksURL
→http://miyukikato.blog.fc2.com/tb.php/1542-3e702472
Use trackback on this entry.

Trackback
list