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WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

考える教育 

 昨夜というか明け方まで上の階の人が大騒ぎ。 多分お友達もいらしていたと思いますが、犬は走り回るし、笑い声は凄いし。 ちょうど考え事をしていて、眠れなかったことも重なって、寝坊した今朝でした。


 やっぱりやろうと思っていることを諦めきれない。 無駄、無理、考え違い。 12月に夜中に日本へ電話をして聞かされてきた言葉。 


 イギリスで高校生の終わりから教育を受け、この国の教育にどっぷりと浸かってきました。 

 この国の教育は、とにかく考えること、が教育の中心。


 大学の学期末試験。 多くの大学では、質問事項と、真っ白の紙が渡されます。 試験時間は3時間。 選択問題でも、○×問題でもありません。

 音大の音楽史の試験も真っ白な紙と共に過ごす3時間。 私が通った大学は英語を母国語としない生徒は事前に届け出れば辞書持ち込み可+1時間の時間延長が与えられていました。


 3曲違うスタイルの音楽を各2分程度聴かされる。 そして、これに対して気がつくことをとにかく書きまくる。

 それ以外のこの試験の内容は忘れてしまったけれど、いくつかの質問があって、それにたいした答えを書く。

 教科書はありません。 一応、音楽史のテキストらしきものはありましたが、それを見ながらの授業、というのは一度もありませんでした。 先生方にそれだけの知識も必要だし、授業を受ける側もそれなりの覚悟が必要。 試験では、もちろん授業で習ったことも含めつつ、どれだけ、自分の考えを含めるか、これが一番評価につながる部分でした。



 修士号の時、最初の授業で言われたこと。


「既存の考えなんて知りたくもありません。 あなたたちのフレッシュな、間違っていても良い、クレイジーな考え方を待っています。 誰かが書いた文章をひっくり返すような考え方を持って欲しい」

 

 4年経った今でも頭にこびりついています。


 例えば、演奏表現分析のエッセイで、分析をした後、まとめの部分で、音楽について、他の芸術の分野の人が話す、表現についての文章を新聞から引用したりする。 これが教授たちが求めていることの一つなのです。 とりあえず、絶えず色々なことに目を向けていなくてはいけなかったのでした。 いけなかった、というよりも、これが非常に興味深かったのです。

 

 

 私はできることなら、イギリスの小学校から人生をやり直したい、と思っています。

 ホリデー前に、6歳の生徒が教えてくれたこと。


「今日はね、学校でカンデンスキーの絵を描いたんだよ! 凄く難しいのだけれど、よーく目を凝らすとわかってくるよ」


 いまいちよくわからなくて詳細を聞いたら、カンデンスキーの絵について先生から説明を受け、皆でよーく絵を見た後、それをまねするのではなくて、その手法、デザイン、何かを用いて、自分の絵を描いたようでした。

 これがイギリスの教育なのです。


 これと同じようなことが私が通っていた高校でありました。 日本との美術の授業の差にショックを受けすぎた私は、中学生の美術の授業も受けさせていただいていました。 まだまだ、バレエの衣装デザインを勉強したい、と思っていた時期です。


 好きなポストカードを1枚持ってくる。 最初はそのポストカードの観察から始まります。 気がついたことを画帳に書いていって、最終的には、そのポストカードにあった額を作る。

 ナショナルギャラリーにもある、モネの睡蓮のポストカードを持ってきた人が何人かいましたが、モネのタッチを真似て、その色使いで額を作る人。 ペーパーマッシュ(紙を水と混ぜて粘土のようにする)で、睡蓮を作って、周りを飾る人。 

 出来上がりが評価されるのではなくて、その考えていく過程が評価される。 もちろん、作品を完成させる必要がありますが。

 私はこの教育を見た時、とんでもなくショックを受けました。

 あの時、本当に自分が日本に生まれたことが嫌で嫌でたまりませんでした。


 私が小学校2年生の夏、家族でフィリピンのセブ島に行きました。 まあ、この時に、裸足で街を歩く子供、とか、壁が無い家、とかを見たショックで、外国嫌いになってしまったのですが。


 夏休みが終って、図工の時間に、夏休みの思い出、の絵を描きますね。 もちろん、私は、セブ島の美しいエメラルドグリーンの海の絵を描きました。 色塗りをしている私のところに来た先生。 


「海は水色。 エメラルドグリーンなんて間違っている。 やり直しなさい」


と言ってきました。


「日本の海ではないし、本当にエメラルドグリーンだった。 だから感動したから、エメラルドグリーンの海を夏休みの思い出の絵に選んだ」


 関東の海なんて、水色どころかグレーなのに、と思って、子供なりにとっても悲しくなったことを今でも鮮やかに覚えています。



 誰かがやって成功したことに、皆がまねしていくのが日本。 新しいことをやるのには、それなりに有名でなくてはいけない。

 いかに、人と違うこと、誰もまだやっていないようなことをやっていくかが大切なのがイギリス。


 

 今やっているプライヴェート・リサーチの為に、色々と読んでいますが、興味深い。 プライヴェート・リサーチ、というよりも、大学生の時から、大学院までで書いてきたエッセイを元に、他の分野もプラスして、修士論文の続きをやっているような感覚です。

 修士論文をやっている時、途中からどんどん枝分かれしてしまって、いつかまとめたい、と思っていた部分を今勉強している感じ。

 先日、幸運なことに、プライヴェート・リサーチャーとして、ブリティッシュ・ライブラリーのメンバーシップを延長ができました。 せっかくメンバーシップを頂いているのだから、きちんと勉強しようと思います。


 3日後が今年最初のコンサート。 ピアノも弾き初め。 

 もちろんピアノは一番大切。

 でも、この国で教育を受けてきたからこそ感じたこと、そして驚くけれど、リサーチをするのが好きな自分に気がついてしまったこと。 だから、ピアノを弾く以外のこともやっていきたい、と思うのかもしれません。

 


 昨日は文献を読んでいて夜更かし。 今日は早めに寝る予定。

Posted on 2011/01/02 Sun. 03:30 [edit]

category: イギリス事情

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