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WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

マシュー・ボーンの『シンデレラ』 

昨日までの冷え込みが和らぎました。 おかげで、天然スケートリンクだった我が家近くの歩道も、すっかり溶けました。 私は、ヒートテックにウールのカーディガン、ダウンコート、という格好で出かけていましたが、半袖で歩いている人たちもちらほら。 さすがイギリスです。


 昨日のロイヤルバレエの『シンデレラ』も書かぬまま、まずは今日観てきた方を。 

 1ヵ月半振りに、サドラーズ・ウェルズ劇場へ。

 11月30日に初日を迎えたばかりの、マシュー・ボーン率いる、ニュー・アドベンチャーズの『シンデレラ』。

 マシュー・ボーンといえば、男性が踊る(女装ではありません)『白鳥の湖』を造った人。

 昨年、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』を観て大感激した私は、内容も知らぬまま、早くにこの『シンデレラ』を買ってありました。 ちなみに、1月中旬以降まで続きます。


WITH HOPE!!-101204 cinderella

 プロコフィエフ作曲の『シンデレラ』を用いていますが、ストーリーは全く違います。

 フェアリーテールではなくて、舞台は、第2次世界大戦、1940年のロンドン。


 プログラムにストーリーは書いていなくて、場面のタイトルが書かれていましたが、


 プロローグ: シネマ

 

 第1幕第1場: 家族の家

 第1幕第2場: ブラックアウト(暗闇)


 第2幕第1場: The Cafe de Paris - ダンスホール

 第2幕第2場: パイロットの宿所


 第3幕第1場: ロンドンの道にて

 第3幕第2場: ロンドンの地下鉄

 第3幕第3場: テムズ川エンバンクメント(土手)

 第3幕第4場: 回復者の家(ホスピタル)

 第3幕第5場: パディントン駅


 主人公はシンデレラですが、王子の代わりに、パイロット、フェアリー・ゴッドマザーの代わりに、男性のエンジェル。

 義理の姉妹2人に加え、義理の兄弟が3人も。


 一昨日の新聞に載っていたこのバレエのことに対する記事で、第2次世界大戦当時のロンドンをあらわした、ということは知っていました。 プログラムに書いてあったキャラクターと、シーンを読んで、頭には???マークが。


 結果を言うと、第1幕の後には、興奮で偏頭痛気味。 第3幕は涙涙でした。 心が揺さぶられるような舞台。

 マシューボーンの音楽の捉え方、ストーリーの作り方に、言葉にならない感激。 感激というか、よい意味で開いた口がふさがらない。

 

 ストーリーラインを軽く書くので、これから観に行く予定の方で、内容を知りたくない方は、ご注意ください。


 ちなみに、わかりやすくするために、ところどころ、ロイヤルバレエで上演中のアシュトン振り付けの『シンデレラ』を出しますが、決して、どちらがよくてどちらが悪い、といいたいわけではありません。 あくまでも、同じレベルの比較としてですので、ご理解ください。


 スクリーンに、第2次世界大戦当時のロンドンのドキュメンタリーが。 一番驚いたのは、街を歩いている女性が、もんぺではなくて、スーツを着ていること。


 序曲が始まると、シンデレラが中央に。 このホ短調を基調とし、プロコフィエフ独自のハーモニーがあわさっているこの序曲が、戦争、という舞台に非常に、恐ろしいほどマッチしていました。


 家の中。 舞台上手、手前に暖炉があって、その前にシンデレラがいるのは、ロイヤルバレエと一緒。

 中央にソファーがあって、二人の義理の姉妹が座っています。

 

 色々とやりとりがあって・・・ 一度、部屋から誰もいなくなった時、シンデレラは、義理のお母さんのファーコートを着て、机の陰から、シャイニーシューズ(ガラスの靴)を取り出してきて、踊り始めます。 このお母さんのファーコートを着るのは、ロイヤルバレエで、シンデレラが、義理の姉妹のスカーフを肩にかけて、うっとりするのと同じタイミング。


 物乞いのおばあさんがやってくる場面、部屋にはシンデレラと車椅子に座ったお父さん。 おばあさんではなくて、エンジェルが暖炉の上に現れます。 そして、エンジェルに導かれて、家のドアを開けると、額から血を流して包帯を巻いた男性が。 これが、パイロット(=王子)。 ソファーに座ったパイロットの隣にシンデレラを座らせて、エンジェルが、彼女の手をパイロットの手に重ねます。


 その後、着替えてきた、他の家族。 アシュトン版で、皆が舞踏会へ出発し、シンデレラが1人で、箒を相手に見立てて踊る場面、ここは、人体に上着を着せたものにパイロットが置いていった帽子をかぶせて、人体と共にシンデレラは踊りだします。 そのうち、人体が、パイロットに入れ替わったのですが、私はあまりにも後ろの列の学生がうるさくて、後ろを向いて注意したので、この入れ替わり部分を見逃しました。


 アシュトン版と違うのは、この後に、フェアリー・ゴッドマザーが現れて、場面が変わらず、ここで、『かまきりとばった』でしたっけ? よくタイトルを覚えていませんが、アシュトン版では使われていない、全曲版だと、『四季の妖精』の『夏の精』と『秋の精』の間に入っている曲が挿入されて、この曲で、着飾ったほかの家族が出かけていきます。


 アシュトン版でのシンデレラが箒を暖炉のところに片付けて、フェアリー・ゴッドマザーが現れるまでの間に、マシュー・ボーン版では、シンデレラはスーツケースに、ガラスの靴と、パイロットの帽子をしまいます。

 そして、ドアから反対側に出ると、ドアがくるっと回って、家の外に出たことをあらわします。


 アシュトン版での『四季の精』の場面が、この版では、第2場、『暗闇』

 ロンドンの通り。


 あの『四季』の音楽で、どのように、ブラックアウトを表すのか、私は非常に興味がありましたし、全く想像ができませんでした。


 アシュトン版のフェアリー・ゴッドマザーの曲はアシュトン版での追加曲ですから、もちろんここでは使われていません。

 『春の精』の曲で、ポリスが6人出てきて、シンデレラは逃げ回っています。 負傷したままのパイロットもいるのですが、二人はどうしても、手を取り合うことができません。

 『夏の精』で、エンジェルのソロ。

 『秋の精』で、ガスマスク・ドッグス。 ガスマスクをした犬。 最初の、プロローグでのフィルムで、「外に出る時には、ガスマスクを忘れずに携帯しましょう」と言っていましたが、日本ではガスマスクを持ち歩いていませんよね?


 『冬の精』は使われず、そのまま、四季の精のコーダ。


 このコーダの最後で、爆弾が落とされます。 倒れたシンデレラ。 でも、エンジェルに助け出された?

 グランド・ワルツの最後で、エンジェルが運転する、バイク?で、退場するシンデレラ。


 

 第2幕は、いきなり、爆弾の音で会場が暗くなりました。

 序曲が再び短いですが、演奏されます。 紗幕の後ろは、カフェ・デ・パリの中。 今落ちた爆弾で、人々が横たわっています。 エンジェルが真ん中に立っていますが。


 ちなみに、解説によると、カフェ・ド・パリというのは、戦争中も、名のある人などが集まっていた、地下20フィートのところにあった、ナイトクラブだそう。 ソーホーにあったそうです。

1941年3月8日の夜、ここも爆弾の被害を受けて、多くの命が奪われたそう。 若い女性の首から上が床に落ちていて、ボディーは椅子に座ったまま。彼女は、白いサテンのドレスを着ていたそう。


 エンジェルによって、皆息を吹き返し(きっと、わからないのですが、時間が物語の進む順番ではないような気がします)、踊り始めます。 シンデレラが、白いサテンのロングドレスで現れ、最初はエンジェルがいたはずなのに、そのうち、あたかも、エンジェルと入れ替わるように、パイロットが。

 二人は、えっ?というような顔をするものの、恋に落ちていく。

 

 シンデレラのヴァリエーションではシンデレラと他の5人の男性が踊り、王子のヴァリエーションでは、パイロットとシンデレラ、そして他のカップルが踊る。 


 『オレンジ』の踊りの後、アシュトン版での王子とシンデレラのパ・ド・ドゥからが、第2場。

 舞台上手にベッドが出現して、シンデレラが寝ています。 そこにパイロットが来て、二人の踊り。とっても官能的。 シチュエーション的に、どうしても私の頭は、同じくプロコフィエフ作曲の『ロミオとジュリエット』の第3幕のジュリエットの寝室の場面を思い浮かべてしまいました。


 12時の鐘が響く前、場面はカフェ・ド・パリに戻り、爆弾が。 それとほぼ同時に、シンデレラは元の姿に戻って、舞台に現れ、爆弾で倒れます。 担架に乗せて運ばれていって、そこにはシンデレラのガラスの靴の片方が残されていて、パイロットがそれを拾って幕が閉じます。


 第3幕は、アシュトン版では抜けている、王子のシンデレラを探す旅が入っています。

 それが、上に書いた、第1場から第3場。 私は通常、この部分が入った版のバレエはあまり好きではないのですが、完全に設定を変えているからでしょう。 このマシュー・ボーン版ではこの部分が好きでした。


 第4場、病院のようなところ。 シンデレラは、エンジェルと共にいて、段々と息を吹き返します。

 多分ですが、アシュトン版で、義理の姉たちが舞踏会から帰ってくる場面、義理の母、姉妹、兄弟が、シンデレラのお見舞いにきます。 シンデレラは彼らには会いたくないのですが、義理の母が無理やり入ってきて、看護婦さんに押し返されますが、彼女1人戻ってきて、シンデレラに枕を押し付けて、窒息死させてしまおうとします。 そして、彼女は取り押さえられ・・・・

 ここが、いまいちよくわからないのですが、スーツケースを持った、負傷していないパイロットが病院にやってきます。 そして、エンジェルと医師(看護師)に変な音が出るものを耳につけられます。 そして、彼らはいなくなるのですが、その音でシンデレラがそこにやってきて、パイロットを見つけます。 

 二人は気がつき、パイロットはスーツケースからガラスの靴の片方を取り出し、シンデレラはベッドに戻ってガラスの靴をとってきます。 

 そして、ベッドにシンデレラが腰掛けて、ガラスの靴を履きますが、ここは、アシュトン版と同じタイミング。


 場面がかわって、パディントン駅、12番線ホーム。 いくつかのカップル。 きっと、これから男性が出征してしまうのだろう、という人たち。 プロポーズするカップル(シンデレラの義理の姉妹の1人)がいたり、そのうち、1人の女性が赤ちゃんを抱いて現れます。 列車がホームに着いて、中から降りてきた海軍兵が彼女の夫。 海軍兵が嬉しそうに赤ちゃんを見つめる。 でも、愛する人が降りてこない人もいる。

 シンデレラとパイロットは二人でやってきて(結婚している)、最後、一緒に列車に乗り込みます。 

 1人、ホームのカフェのテーブルで本を読む女性が。 そこにエンジェルが現れて、彼女の肩にそっと手を触れて、幕が閉じます。 きっと、エンジェルはこの女性に愛を与えるのでしょう。


 

 このマシューボーン版が初演されたのは1997年。

 プロコフィエフは、『シンデレラはフェアリーテールだけれど、人間味を持たせたかった』というような言葉を残しています。 


 曲はほぼそのまま、でも、ストーリーを変えて、全然違和感がない。 そもそも、この『シンデレラ』、ロシアで初演されたのは1946年のこと。 でも、プロコフィエフが作曲したのは、第2次世界大戦中です。


 実は第2幕と第3幕の間に、後ろの人に頭をけられて、具合が悪くなった私。 事情を話して、席を替えてもらったので、第3幕は全然違う印象で観ました(このあたりは後日別記)。 首、背中が悪い私は、その衝撃で、首の痛みが増してしまって、いまいち、第3幕は集中し切れていません。が、それでも、心揺さぶられる。


 今日の公演は完売だったそう。

 時間を見つけて、ぜひもう一度観ておきたいな、と思います。

 でもその前に、まだ行っていないロンドン博物館に行って、ロンドン大火について、きちんと勉強してこようと思います。 ついでに、このところよく広告を見かける、チャーチル・ミュージアムにも。


 それにしても、さすがに、上演期間が長いこの作品、劇場で休憩時間にふらふらしていたものの、誰も知っている人に会いませんでした。 劇場に行って誰にも会わないなんて、とっても変な感じです。

 


Posted on 2010/12/04 Sat. 06:06 [edit]

category: バレエ

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