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WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

ロイヤルバレエ 『ミックス・ビル』 初日 

 コヴェントガーデンでのシーズンも残り、1ヵ月半弱。 4月から続いている『シンデレラ』は再び5月末に戻ってきますが、今日から、残り二つのミックス・ビルのうちの一つ目が始まりました。


 演目は、

 『エレクトリック・カウンターポイント』 クリストファー・ウィールドン振付 曲はバッハとスティーブ・ライヒ (2008年初演)

 『アスフォーデル・ミャードウス(Asphodel Meadows)』 リアム・スカーレット振付 曲はプーランク 2台のピアノの為の協奏曲 (世界初演)

 『カルメン』 マッツ・エック振付 曲はビゼーのカルメン、アルルの女を元にシシャードリン(シチェドリン?)が編曲したもの (1992年初演)


 今回のファースト・キャストの舞台写真はhttp://www.ballet.co.uk/gallery/jr_asphodel_triple_roh_0510 より。


 前回のマクミラン作品3つのミックス・ビルについで楽しみにしていたビルが今回のものです。 先日、インサイト・イブニングの時に触れたように、私は今までのリアムの作品がとても好きでしたし、『カルメン』は昨年1月に初めて観て惚れた作品です。




 『エレクトリック・カウンターポイント』


 セーラ・ラム、エリック・アンダーウッド、エドワード・ワトソン、リヤーン・ベンジャミン


 これは、映像、音声も含まれる作品です。

 スティーブ・ライヒの『エレクトリック・カウンターポイント』と言う、エレクトリック・ギターの作品を後半に、前半は、上記の出演者の順番で一人ずつ、そのダンサーの音声を取り混ぜて、ピアノソロで踊ります。

 女性二人は一人目がバッハの平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第8番 変ホ短調のプレリュード、最後の女性がこのフーガ。 男性二人は他のバッハのコーラルプレリュードなど。


 この平均律は私の十八番なので、そして解釈が他の人とだいぶ違う(だけれど、これで今までいかに点稼ぎをしてきたか・・・)ので、正直、こうして舞台で使われる演奏を聴くのが非常に難しい。

 

 初演時と最初のセーラのヴァリエーションは衣裳が違いました。 後半で全員同じ薄い水色というか薄いグレーのようなレオタードのような形の衣裳を着るのですが、前回はセーラのVではこれにチュチュのスカート部分をつけて踊り、途中でスカートをはずし、最後はそれを持って退場する、と言う風に記憶しているのですが、今回は映像と同じ、きらきらとしたチュチュ。


 映像と同じ動きを最初はしていますが、だんだんとずれていきます。 これはカウンターポイントを意識しているのかもしれません。


 初演時に背が高いぜナイダが踊ったパートを今回はリヤーンが。 彼女は非常に小柄なダンサーなので、あれだけ背が高いダンサーが造ったパートを踊るとどうなるのだろう?と思っていたのですが、リヤーンは一人でいる限り、舞台の上でその小ささを感じさせないダンサー。 全く違和感はありませんでした。


 後半はパ・ド・ドゥが基本。 振り自体は面白いのですが、私には周りの映像が結構邪魔。

 



 『Asphodel Meadows』 

 

 第1楽章: マリアネラ・ヌニェス、ルパート・ペネファーザー

 第2楽章: タマーラ・ロホ、ベネット・ガートサイド

 第3楽章: ラウラ・モレーラ、リカルド・セルヴェーラ

  +7組の群舞


 24歳になったばかり、入団5年目のファースト・アーティストのリアムが初めてカンパニーのメインハウスでの公演のために振付けた作品。

 リアムは、非常に音楽的などちらかというと、コンテンポラリーよりも、ネオ・クラシカルのバレエを振付けてきている人。 コンテも大丈夫になってはきましたが、ネオ・クラシカルの作品が好きな私にはリアムの作品というのは非常に観ていて心地よいものなのです。


 タイトルの『Asphodel Meadows』は古代ギリシャ(神話?)の人が死んだ後、魂が送られる場所のようです。 ギリシャ神話を読まないと駄目そうです。

 タイトルはあるものの、基本的にストーリーのないバレエ。 ただ、故ジェローム・ロビンズが『ストーリーのないバレエでも、男と女がいたら自然にストーリーが出来上がる』と言っているように、何らかの感情は絶対にあります。 それは、観る人一人一人が違うものを感じ取るのでしょう。

 

 プログラムに、リアムの興味深いインタビュー記事が載っていましたが、リアムはこれまでに振付けてきた作品、ピアノソロとピアノ協奏曲、要はピアノが含まれている曲がほとんどだったようです。 その理由は、ピアノは一番人間らしい楽器と彼が感じているから。 ダンサーか振付家にならなかったら、コンサートピアニストになりたかったそうです。 インタビューでは弾けるけれど、とっても下手、と書いていますが。


 照明が暗い、という気もしますが、衣裳は女性は膝丈のワンピース、男性は後ろからみると、なぜか体操選手のように感じるような衣裳。 群舞は薄いグレーと言うか、ページュというか、少しずつ染め方が違う衣裳。 プリンシパルキャストは、第1楽章が茶、第2楽章が黒、第3楽章が濃いバーガンディー。


 幕が開くと、3人のプリンシパルキャストが後ろ向きで横一列に立っています。 音なしで、そのまま後ろ向きで歩き、一人が途中で止まり、二人目が止まり、3人目がもう少し前で止まった時点で音が出ます。


 プーランクのこの協奏曲自体が非常に劇的な音楽。 ころころと変わっていき、色々なスタイル、ハーモニーが混在している。 第2楽章なんて、冒頭はモーツアルト?というような感じの音楽ですから。


 プリンシパルキャスト、特に第1楽章はリアムにしては珍しく、リフトを多用しています。 素敵なのは群舞の使い方。 一度観ただけではまだ目がきょろきょろとして何を観ればよいのかわからなくなる、といったような気もしましたが、それでも、構成が非常に素敵です。


 第3楽章の最後の最後で、全員舞台にそろいます。 女性プリンシパル3人が袖に引っ込んで、男性プリンシパルと群舞が最後並んだ状態で舞台が暗くなっておしまい。


 初日なので、カーテンコール時に振付けたリアムが舞台にたちました。 特にレッド・カーテン・コール(幕の前での挨拶)の際には目に涙を溜めていました。 24歳という若さでカンパニーのメインハウスでの公演に振付けたらそれは感激するでしょうね。

 

 

『カルメン』


カルメン: タマーラ・ロホ

ホセ: トーマス・ホワイトヘッド

エスカミーリョ: ベネット・ガートサイド

M: クリスティン・マクナリー

ジプシー: ブライアン・マローニー

オフィサー: ギャリー・エイヴィス


 女性6人と兵隊5人。


 ロシアのプリマバレリーナ、マヤ・プリセツカヤの夫、シシャードリンが彼女の為にアレンジした『カルメン』を用いています。

 パーカッションを多用し、原作とは順番も入れ替え、でも、興味深く、編曲、という言葉を使いたくないほど素敵な曲です。


 オペラの『カルメン』の筋書きを使用しながらも、50分程度の作品ですから色々と変えている部分も。


 マッツ・エックの振付は非常に音楽的で、コンテなのだけれど、クラシックの形も残し、絶妙なバランス。 女性は全員トウシューズを履かずに、ソフトバレエシューズ。


 バレエは言葉を発しない芸術ですが、このバレエでは、最初のカルメンと(カルメンの夫の)ジプシーの入りでは二人が怒鳴りあったり、兵隊たちの入りでは話し声があったり、という作品です。


 タマーラは私は個人的には古典バレエよりも、このような作品での方がすき。 キャラクター性の強い作品の方が彼女のよさがでていると思います。

 ホセを踊ったトーマス、ソロイストにいるダンサーで、この頃では『シンデレラ』でシンデレラのお父さん役とか、他でもキャラクターダンサーがやっているような役が増えてきていますが、このホセは非常に魅力的。 何故マッツ・エックが彼を選んだのかわかるような気がします。


 今回はシングルキャストでの公演(ジプシーだけはダブルのような気がします)。 


 この作品、踊ってみたい、と思うものの一つ。 バレエに再びはまって4年目。 私の趣味もだいぶ変わってきたようです。 このバレエもたとえシングル・キャストであっても、何度観ても飽きない、というバレエの一つです。


 『カルメン』の前の休憩が終わる頃、友達(10代から70代まで色々)に『また明日ね』と言われたのですが、私は自分のコンサート。 今回は、セカンド・キャストは1度しか観られません。 しかも、そのたった1度観ることができる日は、ケントでランチタイムコンサート。 その後ロンドンを南北に横断して北まで教えに行って、それからまたセントラルロンドンに戻ってバレエ鑑賞、というハードな日。


 今回のバレエ、ぜひバレエに偏見がある方々に観てもらいたい、と思うバレエばかりです。

 

 

 

Posted on 2010/05/05 Wed. 06:46 [edit]

category: バレエ

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