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WITH HOPE!!

イギリスで18年間暮らし、2016年7月に日本へ帰国した、ピアノはロシア系、中身はイギリス、国籍は日本人のピアニスト。 

フェスティヴァルの感想 (Projection) 

幸い暖かめの11月末のロンドン。
先週からボイラーが壊れて、暖房がつかない我が家です。
本来ならば、温かい水も出なくなるので、最初は、お鍋にお湯を沸かしてシャワーを浴びた(これだけこの国にいるので、全く動じません)のですが、大家さんから、温水用の電源があることを伺い、事なきをえました。

 暖房なしですが、多少厚着をすれば、大丈夫なので助かっています。
 数日後にPlumberが来る予定。
 こんなにすぐいらっしゃる、ということは、私の大家のことなので、Pushしたのでしょう。

 さて、既に1週間前になりますが、私自身以外のフェスティヴァルの感想を。
 
 今回、2人の生徒たちが2部門(2クラス)に参加。
 4日間のフェスティヴァル日程のうち、私と同じ日に、2日間、7時間差の招集時間。
 先週の土曜日は結構悲惨で、朝7時過ぎに家を出て、3本のバスを乗り継いで西ロンドンへ行き、9時から生徒のクラスを聴いて、ちょっと練習へ行き、お昼過ぎから北ロンドンへ戻って教え。
 そこで、まったく音を読まない、指の番号も見ない(ずっとのことです)生徒にさすがに怒り、疲れ果て、そのまま生徒のお宅で45分ほど練習をさせて頂き、再び西ロンドンにバスで戻って、4時30分から私のクラスが開始。 自分が弾いたのは、6時半頃。
 フェスティヴァルでは、原本を審査員に提出しなくてはいけないので、重いベートーヴェンのソナタ集と、ショパンのマズルカの楽譜を持ち歩いていたら、数日肩がおかしいままでした。

  
 生徒たち、賞には届かなかったものの、これからの土台にはなっているのだな、と思ったことが、2人の講評用紙に共通して書かれていたこと。
 それは、Projectionができている、ということ。
 Projection、日本語だとわからないのですが、私が受けてきたロシア系の指導では非常に重要な部分です。
 師匠が言葉で説明してくださっているわけではないので、あくまでも、数人の先生方の指導を受けての私の解釈ですが、Projectionとは、脱力して、タッチがしっかりしていることにより、音を飛ばせる、ということ。
 もちろん、子供の体の大きさによっては、音量があがりませんが、それでも、心地よい音が鳴ります。

 Projectionだけでピアノを弾くわけではありませんが、これがしっかりとできていれば、タッチも自在に操れるようになってきます。
私は、21歳で師匠ととことん最初からピアノを勉強した時、最初の少なくとも半年は、全ての曲において、Projectionが最優先でした。 それから、タッチを操れるようになるまでには、数年かかっています。 これでも、早いほうですが。

 曲想をつけていくレッスンは非常に楽しい。 でも、Projectionができれば、もっと可能性が広がる。
 よって、私は楽しくないレッスンかもしれないし、1,2度の単発レッスンではほかの先生よりも、一気に曲が変わるレッスンではないけれど、要望があれば、Projectionに重きを置いたレッスンをしています。
 
 長い目で見た時、タッチがしっかりとしていれば(これは、全ての音をガンガンにきつい音で弾く、という意味では全くありません)、楽だと思うのです。
 もちろん、フェスティヴァルでは、曲が流れていた子に賞はいきました。
 ですが、数年後に代わってくるのがみえたらな、と思わずにはいられません。

 西ロンドン、というのも移民が多い地域ではありますが、このフェスティヴァル、多くが有色人種でした。
 いわゆる、白人のイギリス人の名前、というのは、10%にも満たないです。
 北ロンドンのフェスティヴァルも同じ現象ですが、これが、ロンドンの現実。
  
 オリエンタルも多いですし、今は、ヒンドゥー系が頑張っています。
 
 最終日、22日の日曜日には、自分の協奏曲の後、最後のクラス、16歳以下のエキシビション(12分以内2曲)を聴いてきました。
 サマーコースで過去3回一緒になっている子(お母様もいらしていたので、よく知っています)も出ていましたし、みなさんどのような曲をどのように弾くのか、興味がありました。

 この年齢になると、差もあることを感じます。 
 そして、何よりも、審査員の講評が参考になるのです。
 イギリスですから、どんな演奏にもまずはよいことを話します。
 そして、改善点。
 今回の審査員は非常に詳しくお話しくださって(小さい子には実演で。 私も協奏曲は時間があったので、ミニ・マスタークラス状態)、私自身も自分なりに感じたことをメモしておいて、それと照らし合わせていくのが面白い。
 結局は自分の勉強です。
 
 私は、もし、自分自身が演奏しないのであれば、あのフェスティヴァル、全クラスを聴いていたかったです。
 
 日本のほうが、立派なホールで、もっときちんとした格好(ジーンズ、トレイナー(運動靴)のこが大半)で演奏するでしょう。
 服装に関しては、私は、ジーンズ、トレイナー、ジャージ禁止、と言ってありますが、やはり主催者の方と話していた時に、「今の親は・・・」とおっしゃって、服装のあまりのカジュアルさに、嘆いていらっしゃいました。
 でも、音楽の広さ、気軽さ(参加費も、子供だと1000円弱、私の部門で2000円弱)から言うと、イギリスに軍配が上がります。
 そして、それが私がイギリスの音楽界が好きな理由。 そして、もちろん、納得できない審査員もこれまでにいましたが、それでも、審査員がふんぞり返っていません。
 
 今回賞をとれなかった生徒も、すでに先週のレッスンで、次のフェスティヴァル(2月)への参加表明をしていました。
 慣れもあります。
 私自身も、1月末に再びフェスティヴァル参加(場所がロンドンではないので、生徒には声をかけていません)。
 コンサートとは違う、今の私だからこそ必要な学びの場であるのだな、と思うばかりです。
 6月のウィンザーで一緒になって、その時にはしゃべりませんでしたが、今回も2クラスでご一緒して、おしゃべりをして、共通の知人がいることもわかり、次に1月にもご一緒することが分かった方もいます。 大人ならではの楽しみもあります。
 
 この環境に感謝です。

 
 
 
 

Posted on 2015/11/26 Thu. 23:58 [edit]

category: 音楽

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26

あとひと月でクリスマス 

 今週末がアドヴェント。 
 もちろん、ロンドン市内は既にずいぶんクリスマスムードが漂っています。
 スーパーストア、カフェではクリスマスソングがかかり、クリスマスなのだな、と。
 だから、私は以前日本で、ぜひクリスマスソングのコンサートをしてほしい、といくつかの希望を頂きましたが、やらないでしょう。
 ピアノアレンジされたクリスマスソングを聴くって、私にとっては非常に奇異なことなのです。
 それに、ああした歌い回しは、私よりも優れている人が違う分野でいますから。

 イギリス1年目、ケント地方の高校生だった時、学校のオーケストラ、地域のオーケストラでのクリスマスコンサートの楽しかった記憶もあります。 
 でも、それらは、いわゆるクリスマスソング(というか、賛美歌)は、オーケストラの演奏に合わせて、観客が歌う、というスタイルの物も。
 それが、私には素敵なことに見えました。

 スーパーストアにはクリスマスの食材が並び始め、チーズの種類も増え(これが目に毒・・・)、包装紙を抱えてバスに乗る人も見かけるようになり、あとひと月なのだな、と。

 そして、毎年ちょっとドキドキしますが、今年も例年通り、イギリスの公共の交通機関は、ロンドンのバス、地下鉄も含め、25日は終日運休。
 この大都市ロンドンで、1年に1度、12月25日には交通機関が止まる。
 とってもとっても素敵なことだと思います。
 これが無くなった時、本当にイギリスは変わってしまうと私は思うのです。
 観光客は大変なようですが。
 それでも、スーパーなど、25日しか休まないところが増えて、イギリスも変わったな、とちょっと寂しくなります。
 
 今年はターキーを焼こうかな、なんて思っていますが、小さなものでも、1人でその後食べ続けるのはちょっとつらいかな、と思ったり。

 この冬こそは、クリスマスの飾りをみて歩こうと思っています。 あと2週間ほどはお預けですが。

Posted on 2015/11/25 Wed. 23:26 [edit]

category: クリスマス、行事、習慣

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25

フェスティヴァルを終えて 

11月14,15、21,22日の2つの週末にわたって行われたフェスティヴァル。
この日程のフェスティヴァルは、ロンドン近郊でいくつかあって、どこに出るのか迷いましたが、私は一番距離的に行きやすいところ、受けるクラスが興味を持てるところ、生徒を出すにも場所的に一番良い、と思えた西ロンドンのピアノに特化したフェスティヴァルに参加しました。
 ここでいうフェスティヴァルというのは、コンクールと発表会の中間のようなもの。
 順位はつきます。 が、人前で演奏し、審査員の先生にコメントを頂けるのが勉強。

 15日の夜に、バロッククラス(Open)
 バッハ: 平均律クラヴィーア曲集 第1巻第8番 変ホ短調
 
 審査員はおひとり。 一人で、朝の9時から私たちのこのクラスがこの日の最終で、始まりが夜7時20分(結局は7時45分始まりの、8時20分終わり)。
 とてもお疲れのことと思います。
 しかも、西ロンドンの私立の中、高校をお借りして、非常に大きな音が鳴る、ブルットナーのピアノのあるホールで、一番前で様々なレベルの人たちを聴き続け、コメントを書き、そして講評をしていくのは非常に大変なことと思います。

 バロックの時代に書かれたもの、制限時間は8分。
 ということで、非常にぎりぎりの時間でしたが、私は、昨年12月のコンクールで大破壊、今年2月のフェスティヴァルで破壊させて、今年はコンクールでは弾いていない、バッハの平均律クラヴィーア曲集 第1巻第8番、 変ホ短調を演奏。

 とにかく心掛けたのは、審査員も、隣で演奏を聴いて雑用をしていらっしゃる主催者の方も、とにかく疲れていらっしゃるだろう、ということ。 だから、通常私がこの曲を弾く時に比べて、重い十字架を引きずるのではなく、聖母マリアのような、淡い光のある教会のステンドグラスのような、透明感のある音、いつもよりも緊張感を緩めたストラクチャーでの演奏をする、ということ。

 事前に一切触れていないピアノ。 ただ、大きい音がでる、ということはわかっていたピアノ。
 プレリュードで1音目を出したとき、コントロールがきかない、今まで弾いてきたブルットナーとは全く違うタッチに戸惑いました。
 が、すぐに、2本のペダルを駆使して、タッチを変えて、対処。
 
 音の出し方に気を取られてしまった感もありましたが、今までにないこのプレリュードとフーガだったことも確かです。
 きっと、パリのテロのことを思っていたからでしょうか、1月に訪れた、パリのマドレーヌ寺院の中が目の前に広がってきたのは素敵な経験でした。

 言葉悪く言うと、狙った演奏かもしれません(審査員の耳にやさしく、ということを考えた演奏)。
 ですが、バロックは人によって解釈が違うから、とても難しいところでもあります。
 特に、この私の平均律は、今までにも個性が強い、と言われていたものに、さらに今回は手を加えているのです。

 結果、かなりの高得点で、1位を頂きました。
 そして、バロッククラス全体の最高点で、そのうち、カップを頂けるそうです。
 プレリュードに関しては、べた褒めして頂き、恐縮するばかりでした。
 特に、やはり、音の美しさ、和声の理解力、フレージング、音楽性を評価していただき、伝わる演奏だったそうです。
 
 帰り際、主催者の女性(たぶん、ピアノの先生ではないかと・・・)にもペダリングによる音の調節を評価していただいて、うれしいばかりでした。 きっと、あの時間のあの演奏だったから、という評価だと私は思います。

 
 21日の夕方には、西ロンドンにある、小さな教会で、エキシビション(他のフェスティヴァルだとリサイタルクラスということが多い)クラス。 15分以内で2曲

 ベートーヴェン: ピアノソナタ ニ短調 17番(テンペスト) 第1楽章
 ショパン: 4つのマズルカ 作品67

 あえてこれらの曲目での参加。
 テンペストは、12年ぶりくらいに弾いたはず。
 こういう機会でないと、なかなか解凍をしないので、良い機会だと思って。
 
 案の定、この曲を弾くたびに問題になる、ペダリングに対する注意。
 ただ、私は、3年前にベートーヴェンの時代に作られた楽器を弾いて、この部分に関しては今の楽器との違いを身をもって経験し、私なりの意見もあります。
 あとは、テンポの問題。 これは、私のとても弱点。
 それでも、こうして、きちんと舞台に戻すことができて、良い機会でした。
 
 そして、ショパンのマズルカは、本番では何度も弾いているものの、やはり審査される場所では弾くのを躊躇して弾いたことがありませんでした。 今回はあえて、これを知りたくて、マズルカを弾くことに。
 
 結局、講評で言われたのは、私の演奏は、「ミニリサイタルを聴いているよう」ということでした。
 上位になったのは、私は好きではないけれど、難曲を軽々と。 怖いものなしの演奏でした。

 このクラスは、10代の子達から、定年後くらいに見えるアマチュアの方まで色々と混ざるクラスでした。
 全22曲が演奏されましたが、1曲も重なりませんでした。
 これが、ピアノ曲の幅の広さだな、と思わずにはいられません。
 
 終了後、1人の男の子(参加者)に声をかけられ、私が修士を終えた、王立音楽大学で同時期にピアノ科に在学していた子でした。 彼は当時学部生だったようですが。
 私はああいう雰囲気のピアノ科のイギリス人は結構多いから、と思っていたのですが、あちらは私のことがわかったそうで・・・
 帰り途中までおしゃべりしながら帰りましたが、こうして、卒業後フェスティヴァルに参加している人に出会えるのは本当に刺激を受けました。
 そして、この時の演奏に対して、嬉しいことを言ってもらったので、わかってくれた人がいたことに、Happyでした。

 
 最終日、22日の夕方には、コンチェルト。
 今回、昨年のサマーコースで出会って、今は私の母校で伴奏を勉強している後輩に伴奏をお願いしました。
 
 グリーグ: ピアノ協奏曲 第1楽章

 11年振りにこの曲を人前で弾きました。
 残念なことに、私自身が色々と悔いの残る演奏になってしまいました。
 
 やはり、ソロとは違います。
 初めて協奏曲を勉強した時とは違い、2,3度本番(全てピアノ伴奏ですが)にかけている曲なので、また違う難しさがあることをいやというほど知りました。
 それでも、講評では、「コンチェルトの演奏スタイルを非常に身に着けている」というのが意外なこと。

 11年前よりもメカが良くなっていますので、あれ?と思うところも何度か。
 
 審査員の先生からは、今回のフェスティヴァルで私が弾いた曲、時代の弾き分けがしっかりとしていた、ということをおっしゃって頂いて、気を付けていることを評価して頂いたのは嬉しいです。 が、もちろん、弱点も多く言われましたので、これらを磨かなければいけません。

 決して得意曲だけで勝負したわけではない今回のフェスティヴァル。
 それでも、どうにか受けたクラス全てで賞を頂けたことは大きな進歩だと思います(今更ですが)。

 次に向けて、まためげずに頑張りたいと思います。



 
 

Posted on 2015/11/24 Tue. 23:38 [edit]

category: 自分のコンサート

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24

西ロンドンでフェスティヴァルに参加 

土曜日の朝は、7時ちょっと過ぎに家を出て、100mも歩かないうちに、なんと雪。
結構激しく降って心配したものの、1時間もすればやんで、午後からは青空も広がりました。

というわけで、この週末は、先週末に引き続き、西ロンドンでフェスティヴァル(小さなコンクールのようなもの)。
2年前に生徒を初めて出してみたフェスティヴァルで、今回は、生徒2人と私自身が参加してきました。

生徒たちは、1人はフェスティヴァル自体、初参加。
もう一人は、本番の1週間前に右手の人差し指をなんと突き指。
腫れていましたが、本人の出たい、という意志で演奏しました。
二人とも、頑張りましたが、今回は結果につながらず。
でも、良い経験になったことと思います。

私自身は、年齢制限なしのオープン・クラスで、バロック部門、エキシビション(自由曲2曲)、協奏曲(ピアノ伴奏)に参加。
バロックで1位、かつ、全バロック部門での最高位、エキシビションで3位、協奏曲で2位を頂いてきました。
人数が少ないところもありましたが、人数が少なくても、点数が伸びなければ受賞にはつながらないので、ありがたく頂こうと思います。

もちろん、色々と思うことはありますが、イギリスのフェスティヴァル、というのは、あくまでも審査員は一人。
その人との相性もあります。
今回は、6月にウィンザーのフェスティヴァルに参加した時と同じ審査員でしたが、あうところは凄くあうのに、私の場合は、ロマン派、古典派があまり相性よろしくないようです。

ともあれ、嬉しい再会とか、素敵な出会いなど演奏以外にも、この一人でピアノに向き合っている私にとってはたくさんの刺激を受けた2Weekendsでした。
 生徒も出して、自分も受ける、その間には教えに行ったり、ということで、さすがに疲労が酷く、昨日は夕方から協奏曲部門だったものの、朝の時点で、棄権するのか?と一瞬思う状態もありましたが、予定をこなすことができて、ひとまず安心しました。

 先週のことは、アップしていないものの、既に書き留めてあったりしますので、少し後ほど書いてみたいと思います。

 

Posted on 2015/11/23 Mon. 22:11 [edit]

category: 音楽

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ピアノを続けるということ 

 日本の音大とは違い、イギリスの音大というのは、人数が少なめだと思います。
 希望者がいないわけではなく、とる人数が少ない。
 それでも、今はずいぶん増えていますが、私の頃は、どこも学部のピアノ科というのは、15人前後だったと思います。
 
 私が学部を終えたカーディフの音大は、イギリスのメインの8校(当時はこの数)の音大の中でもランクが下。 
 ということもあるかもしれませんが、今でもピアノを弾いている人は非常に少数だと思います。
 私の学年は、皆と今でもやりとりがあるわけではないので、よくわかりませんが、演奏をしているのは、私くらい。
 学校の音楽の先生になったり、音楽とは全く違う職業についていたり。
 イギリス人と外国人でやる気度の違いが他の学年に比べても大きかった年で、外国人勢(同門にスペイン人、ギリシャ人、違う門下にセイシェル人そして私)は目的をもっていて、練習もするし、熱心。 イギリス人勢の方が、実技の追試が多かったり、練習しなかったり。
 
 こういう状態だったので、基本的に、土曜日の夜にピアニストのDVD鑑賞(他から恐れられていた・・・)、とか、休憩時間にピアノ談義をしていたのは、私の場合は、一つ下の学年のイギリス人と、先日10年振りに再会した、2学年下のウェールズ人。
 1学年下のイギリス人とは特に仲も良くて、ピアノ科のパフォーマンスクラスが一緒だったこともあり、私たちはいつもクラスで意見を言い合い、発言も多く、ついに、「S(友達)とみゆきは発言禁止!」と、特に私は外国人なのに発言禁止令を出される、という珍しい事態に陥りました。

 ウェールズ人とは、一緒にフェスティヴァルとか、ウェールズのコンクールとかを受けに行っていた仲。
 当時、彼はピアノに対するパッションが強く、特に途中脱落者がとても多かったあの学年で、頑張っていた人。
 が、今はピアノを弾いていない。 音楽業界にはいるけれど、ピアノに直接は関わっていません。
 そのことは、ずっと気になっていて、他の人たちもそうですが、皆が見切りをつけている(と私は思っていた)中、私は、こうしてピアノを演奏することに未だすがりついていて良いのだろうか??と悩んでもいるわけです。
 別に、人は人、自分は自分です。
 それでも、周りがあまりにもピアノから離れていくのをみて、複雑な気持ちもありました。

 先日は、コンサートが始まる前と、休憩時間中だけですので、それほど話し込んだわけではないのですが、10年振りに話して、楽になった部分があります。
 私は、あれだけパッションがあった人がピアノをもう弾いていないことが不思議だったし、本当に私はこうして弾いていてよいのか?と思っていましたが、彼にも理由があった。 ついていた先生の指導のこともあったようですが、学部を卒業するころはピアノに対するパッションもなかった、ということを聞いて納得できる部分があったり、諦めたのではなく、自分の意思だったのだ、と知ることができて、私のつかえていたものがちょっと軽くなったように思えました。

 ピアノは、他の楽器に比べても、一人でいる時間が長い楽器。
 一人でどれだけ、楽譜とピアノに向き合えるのか。
 それがつらい人もいる、ということを言われて、わかる気も。
 私はソーシャライズしない、と有名ですが(今年は本当に行けていませんが、それでも、一番会う機会が多いのは、70歳以上の友達でしょうか??)、我慢してソーシャライズしないわけではない。
  
 優秀な若い人が多くいる世界で、私みたいなのが続けていてよいのだろうか?と思わないわけでもありません。 
 ですが、コンサートで他のピアニストに無い何かを評価して下さる方々がいらしたり、先日もフェスティヴァルで評価して頂いたりすると、やはり、辞めることはできない。
 
 結局は、自分の意思なのだな、と思うばかりでした。
 私はこの世界に入ったのがずば抜けて遅いこともあり、年齢で苦労することが多いのも確かです。
 若い人に評価は行きますから。
 でも、好きでなければ続けていけない世界、というのも改めて思いました。
 
 私は、まだまだ弾きたい曲がたくさんあって、今まで弾いてきている曲でも、まだまだやりたりないことがたくさんあって、細々とでもよいから、続けていきたい、と思わずにはいられません。

 そして何よりも、言葉ではなく、自分の気持ちを表現できるこの世界が大好き。
 そして、それが相手に伝わった時が喜びかもしれません。
 
 
 

 

Posted on 2015/11/20 Fri. 23:52 [edit]

category: 音楽

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20

優秀なモデル 

少しずつ寒くはなっていますが、例年に比べれば、暖かめだと思うロンドンです。

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 先日行った、西ロンドン。
 写真だとわかりにくいのですが、なぜか、中央部分に、モミの木のようなものが、枠組みの中にありました。
 まだ木々の葉がかろうじて残っているものの、これが無くなると、一気に冬ですね。


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 ハイドパークなどのリスは人間に慣れていることが多いのですが、ここのリスもそうでした。
 とても優秀なモデルで、結構長い間(連写ではなく、4,5枚写真を撮る間)このポーズのまま、こちらをみていました。
 動物は、触るのは苦手ですが、みているのは好きです。

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 手にドングリを持っていれば、パーフェクトですが、リスは愛らしい。
 カーディフの大学時代のセイシェル人の親友は、セイシェルにはリスがいないから、イギリスに来て、初めてリスをみて、その愛らしさに魅せられて、作曲も勉強していた彼は、”リス”というタイトルの曲を書いていたことを思い出しました。 

 ロンドンは大都会ですが、こうして、ちょっと離れると、自然が溢れているのが魅力だと私は思っています。
 

Posted on 2015/11/19 Thu. 10:51 [edit]

category: 日常

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19

London Jazz Festival, Hiromi 

昨日あたりから、Windyなロンドンです。

151118-1


 久々の、ベタですが、大好きな夜景。
 
 1年振りかもしれません。 テムズ川の向こう側の、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールへ。
 今夜は、いつもと違う私は初めての経験の雰囲気のロイヤル・フェスティヴァル・ホール。
 ジャズ・ピアニストの上原ひろみさん(欧米では、Hiromiで通しているようです)のコンサートでした。
 
 彼女と言えば、トムとジェリーの速弾きでは知っていましたし、いつか聴いてみたい、と思いつつも、元来、ジャズが苦手(これは、カーディフ時代のジャズ科の人たちと揉め事が多かったことが一つの理由)の私は、彼女がロンドンで弾くことももちろん知りませんでした。
 
 昨日になって、カーディフ時代の大学のピアノ科の友達(日本風に言うと、2学年後輩)が誘ってくれたので、行くことに。
 彼がこの5,6年ロンドンにいることは知っていましたが、私はあまり人を誘って出かける方でもないので、気になりつつも、やっと今になっての再会。 実に、10年振りでした。 

 今回は、ソロではなくて、トリオでのコンサート。
 もちろん、クラシックとは全然違う。
 エンターテイメントなのだな、というのが第一印象。
 上原さんにしても、物凄いメカの持ち主ですし、クラシックが元にある方。
 でも、足を振り回したり、頭を振り回したり、というのが、同じピアノ、という楽器を弾くものにとって、一番の驚きでした。
 でも、体勢を変えても生音でないにしても音がそれほど変わらない、というのは、彼女は体幹がしっかりしているのだろうな、と思ったり。 私はこのところ、ピアノを弾くうえでの体幹に興味があり、自分なりに頑張っているのです。

 ただ、聴きながら多くを考えていました。
 どうして、今回演奏した曲は、ニューアルバムに入っていたり、新曲だったりのようですが(もちろん、私は一つも知りません)、クラシックのように、知らない曲でも皆楽しめるのだろうか?
 クラシックだったら、知らなかったら楽しめない、という人がたくさんいるのに?
 それはライティングも含め、演出なのか?
 それとも、彼女の演奏が上にも書いたように、視覚で”楽しめる”ものだからなのだろうか???
 
 考えれば考えるほど、わからなくなりました。
 一つ分かったのは、私は、100年とか、300年とか前に誰かが記した曲に、新しい命を吹き込ませる、クラシックの世界が好きなのだ、ということ。
 他の言い方をすると、日本舞踊の世界で子供の頃は、衣装、舞台装置が豪華な、”京鹿の子娘道成寺”や、”汐汲み”のような演目が好きだったのに、中学生くらいになって、素踊りの良さがわかるようになった、というのに似ているのかもしれません。
 もちろん、今でも豪華なお衣装を観るのは好きです。 どちらにも良さはある。
 でも、演出だけではなく魅せる舞台もある、ということなのかもしれません。

 Jazzを聴くのはカーディフ時代以来です。
 意外なことに、私はジャズよりも、全然違う、ロックの方が好きなようです。
 ですが、こうして、違う分野の音楽に触れることもそれはそれで刺激を受けます。
 そして、もちろん、日本人の方々も今日は結構見かけましたが、あれだけの欧米人に支持を得ている同世代のピアニスト。 凄く刺激を受けてきました。
 誘ってくれた友達にも感謝。
 懐かしい友達の話にも花が咲きましたが、どうやら、当時よく一緒にいた人たち、私たち二人だけが残っている独り身のようでした。 光陰矢の如し、です。


 
 


Posted on 2015/11/18 Wed. 23:52 [edit]

category: エンターテイメント

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18

パリのテロで思うこと 

 盛りだくさんの内容の週末が終わり、疲労感とともに、充実した気持ち、次への課題もありました。 次の週末に続きがあるので、それが終わったら書き残したいと思います。

 パリのテロ。
 もちろん、地球上では、ニュースに大きく取り上げられないけれど、紛争が多く勃発しているところもあるのは百も承知しています。
 それなのに、今回、パリのことを大きく取り上げていることに対する意見がいろいろとあるのもわかっています。
 ですが、今回は、パリ、という表面的に危険を感じない、人々が日々おびえているのではないところで起きてしまった無差別のテロ。
 もちろん、私は真っ先に2005年7月7日、ロンドンの朝の無差別地下鉄、バスなどでのテロを思い浮かべました。

 11年前に初めてパリに行ったときは、凄く憧れていたにも関わらず、実際にはそれほどの私の興味にはつながりませんでした。
が、近年1年半の間に3回パリを訪れて、その空気、街並みが大好きになりました。
 コンクールなどで出会って、パリには知人も多くいます。
 Facebookで安否を知った人もいますし、すぐにメールを送らずにはいられなかった友達もいます。
 コンクールでおしゃべりしても、その後連絡を取らずにいて、今回もきっとパリにいると思うけれど、無事かな?と案じている人たちもいます。

 今日の夕方になって、在英日本大使館からのメールがきていましたが、ロンドンは昨年夏から警戒レベルがあがっていたこともあり、今回は特に変わりはないようです。
 
 今回のテロ翌日だったか、やはり、新聞記事で、イギリスが狙われる可能性のようなものも読みました(真っ先に、パリの次にロンドンが狙われる可能性を思った私は、検索したのです)。
 
 防ぎようにも防ぐことはできません。
 ただ、生還者の話をいろいろと読み、もしもの時にはどのようにすればよいのか。 死んだふり、動かない、というのがよさそうなので、それを肝に銘じておきたいと思います。

 
 私は、あの10年前のロンドンのテロの2日後、カーディフからピアノのレッスンのためにロンドンに来て、あの異常な空気感を忘れることはありません。
 レッスンの前日に、先生に「怖いから行きたくない」と電話をしたら、先生から、「何が怖いのか? 今が一番安全だ」と笑い飛ばされ、さすが、あのソ連の時代を生き抜いた人は違うな、と思うばかりでした。

 どのように気を付けたらよいのかわかりませんが、とっさの時にパニックにならないよう、とは思っています。

 
 

Posted on 2015/11/16 Mon. 23:14 [edit]

category: 日常

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16

盛りだくさんな土曜日 

2年ほど前は、土曜日、というと朝から夕方まで、移動を何度も伴いながら、一日中教えていました。
最近は土曜日希望の方も減ったり、進学があったりして、ゆったりな土曜日。
ですが、今日は振り替えや、フェスティヴァル前の臨時レッスンがあったりもした為、久々に盛りだくさん。

お昼を挟んで2地域でレッスンをした後、来週のために、中古楽譜屋さんへ行き、楽譜を手に入れ(私が持っている楽譜はあまりにも情けない書き込みが多く、とても、審査員に出せる状態ではない。 でも、自分自身の当時を知るために、書き込みを消したくもなかったので、中古で新たな楽譜を購入することに)、しかも、それが、ほぼ新品状態で、新しく買うよりも2分の1以下のお値段で、助かりました。
 カーディフ時代から、10年以上私が通うこの中古楽譜屋さん(厳密にいうと、古本屋さんで、地下が中古楽譜)、4か月ぶりに行ったら、すっかり中が片付いて、驚きました。 お店のおじさんにも、「きれいすぎて、違う店にきたみたいだろ? 昔がよかったな」と言われたほど。
 
 それからコンチェルトの伴奏合わせをしてもらって、教えて、という一日。
 
 コンチェルト、11年振りに合わせで弾きましたが、すごく楽しかった。
 もちろん、ピアノ伴奏ですが、それでも、楽しい。
 オーケストラとコンチェルト、というのが、私がかなえられていない夢の一つ。
 それでも、今回、ピアノ伴奏でももう一度挑戦できるのがとっても嬉しい。
 一楽章だけですが、一度通して、私なんて半袖、部屋には暖房もついていないのに、伴奏してもらう友達と湯だつほど。 
 2度通してもらって、11年前に師匠と勉強した時の、協奏曲の弾き方を体が覚えていることに驚き。
 ただ、やはり負担はかかるらしく、久々に、複雑骨折後の左手が傷んでしまったのが残念。

 課題もたくさん出てきたので、手にかかる負担に気を付けながら、でも、自分が納得できる演奏を目指して、1週間頑張りたいと思います。 

 
 
 

Posted on 2015/11/14 Sat. 23:57 [edit]

category: 音楽

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14

Prier pour Paris 

 年明けに続いて、再びパリで・・・
 
 ロシアの飛行機が爆破されて、今度はパリで。
 イギリスも特にロンドンは危険度が高いわけなので、他人事ではありません。

 まだ詳しいことはわかっていないようですが、一刻も早く、落ち着くことを願うばかりです。
 知人を始め、皆さんが無事であることを願っています。
 Facebookでとりあえず、ある程度は友達の無事もわかったので、よかったですが。
 
 今年は昨年に比べ、イギリスにいるものの、とりあえず、私の居場所確認で、ロンドンにおります。
 
 

Posted on 2015/11/13 Fri. 23:58 [edit]

category: 日常

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13

イギリスにおけるピアノ事情 ② 

 出張レッスンは移動が大変ですが、一つ恵まれているのは、生徒たちがどのような楽器で練習するのかを見られること。

 何度か出くわしたのが、音程が狂っている楽器。
 狂っている、というのは、調律を入れていない、というだけではありません。
 ドを弾くと、シかシ♭、要は、半音または全音下がってしまっている楽器。

 セカンドハンドで、お店、またはお友達などから買った時に起こってしまう問題。
 日本では普通ですが、イギリスではまだまだ少ないパーフェクトピッチ(絶対音感)が無い人であれば、問題ないのでしょう。
 ですが私は・・・
 調律師たちも、とりあえず音だけは揃えて、下がっていることは持ち主に伝えないようです。
 無理に上げたら、楽器が完全に壊れることもあるので。

 我慢して教えることもありますが、この楽器で教えると、生徒が間違っているのか間違っていないのか、耳だけでの判断が難しくなるため、指をずっと見続けて、結局はレッスンの効率が上がらなかったり、終わった後、ぐったりなことも。
 
 
 今までで一番ひっくり返りそうになったことがあります。
 結局は私には習わず、一度お会いしただけですが。

 ある日、一本の問い合わせ電話
「家には、ベイビーグランドがあるのだけれど、誰もピアノが弾けません。 一番下の子(確か5,6歳だったと思います)が興味を示しているので、習わせたいのですが」

 ということで、とりあえず、トライアルレッスンに伺いました。
 着いたところは、あまり良い地域ではありません(イギリスはこの差が激しい)。
 ここに本当にベイビーグランドが???
 お宅に着いて、中に入ると、どこにもピアノは見当たりません。 
 日本でいう一階部分は入ったところがSitting Room(リビングルーム)で奥がキッチン、というこういう地域では良く見かけるタイプのお宅。 
 まさかグランドピアノが2階に??
 お母様が、
 「今ピアノを持ってくるから。 楽しみにしていたのよ」
ますます?????です。 ここで多少の嫌な予感はあったのですが・・・

 持っていらしたのは、「グランドピアノの形をした、トイピアノ」
 私たち音楽をする者の感覚では、ベイビーグランド、というのは、長さのない、ヤマハでいうと、C2以下の大きさのグランドピアノのこと。
 
 この持っていたしたトイピアノ、鍵盤をおすと、日本で今流行っているようなきちんとしたドレミの音が出るものではなく、音程が無い(ぐちゃぐちゃ)の、金属音の、あくまでも形だけがグランドピアノ、というおもちゃでした。

 お母様も子供も期待に満ちていましたが、これではとてもとてもレッスンができません。
 子供の耳にも良くない。
 ということで、私にしてはかなり言葉を選びながら説明し、コンピューターで、本物のピアノの写真をみてもらいました。

 結局その後につながりませんでしたが。

 もし、私が自分のところでレッスンをして、この親子が、「我が家にはベイビーグランドがあります」と言われて、それを信じて、でも、1オクターブちょっとしかなくて鍵盤も足りないし、鍵盤の幅も違うし、子供が上達しなかったら、私は後で困ったと思います。
 そのような意味で、この時ほど、出張レッスンでよかった、と思ったことはありません。

 どうしてこんなことを(数年前の出来事です)を書いたのか、というと、先日初めてのオーガナイザーから来年のコンサートの依頼を頂き、そのメールに、「○○教会には、ベイビーグランドがあります。 状態は良いです」ということが書かれていたから。
 ベイビーグランド、というのを読んで、私の頭には、まずあのおもちゃのグランドピアノ形のトイピアノが浮かびました。
 もちろん、大丈夫だと思いますが。

 住居的に問題が無くても、アップライトの形が嫌だから、と、アップライトピアノよりもお値段がする、グランドピアノ型の電子ピアノの生徒もいます。 
 
 本当に色々。
 人種が色々だからこそ、その出くわす内容も増えていく。
 
 日本にいる日本人の方々は、イギリス=白人と思うかもしれません。
 ロンドン、ということもありますが(地方に行くと、まだまだ白人が多い)、私の生徒たちの90%以上が有色人種です。
 生徒のご両親の代からイギリスで生まれ育った、ということも多いようですが、それでも、彼らは日本人以上にここで彼らのコミュニティーがあります。
 本当に、レッスンではひっくり返るような言動の連続です。
 凄い社会勉強だと思っています。

 

 

Posted on 2015/11/11 Wed. 14:56 [edit]

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11

イギリスにおけるピアノ事情 

今まで、サマーコース、その他、色々な日本の音楽関係、ピアノを習っている日本人の子供のご両親とお話をする機会がありました。
私がイギリスでピアノを教えている、演奏している、というと、日本の方々からはこちらの音楽事情に対し、大きな誤解、そして、こちらとしては、憧れを崩すことが多々ありました。

 ここをお読みの方々はご存知のように、現在の私の演奏場所、というのは、2週間ほど前のチェルトナムを除いては、ほとんどが教会でのコンサートです。
 どうして教会なのか、というと、そこしか会場が無いから。
 日本のように、どこの市町村にも立派なホールがあるわけではないのです。
 立派なホールに、スタインウェイを始め、フルコンサートグランドピアノがそろっています。
 でも、それらは、子供たちの発表会以外で弾かれることは年に何度あるでしょうか?
 子供たちの発表会で使うことはもちろん大切です。 でも・・・

 教会にあるピアノの多くはポンコツ。 でも、段々とそれで演奏する術をみにつけていくのです。
 
 いわゆる、音響も良いコンサートホールがあるのは、ロンドン、マンチェスター、バーミンガムなどの大都市。
 その他の地方都市では、それなりの大物ピアニストも、教会で演奏していたりするのです(もっとも、ピアノを運び込むことも多いようですが)。

 
 日本の音大生たちは、地方から東京に来ても、防音された、音大生用の住居に住むことが多いのでしょうか?
 そのような物件があるのが日本。
 だったら、イギリスは?
 ありません。
 クラシック音楽が盛んだから、ヨーロッパだから、練習の音にも寛大?
 全くありません。
 いくら法律で音出し時間が許可されていても、ピアノがあったら、入居させてもらえないのが現実です。
 非常に探すのが大変、といっても問題ないでしょう。
 私は今までに何件に断られたかわかりません。
 そしてその解決策が、電子ピアノでした。

 ただ、生徒たち、いわゆる一軒家に住んでいる方々は、今はほとんどが生ピアノを持っているのが、私の生徒たちの恵まれているところ。
 もちろん、過去にも現在にも電子ピアノの生徒たちはいます。
 フラット(アパート)だとどうしても、生ピアノは難しいですし。
 
 ですが、ここはイギリス。 
 日本よりもクラシック音楽、ピアノの歴史がある分、びっくりする楽器にも出くわします。
 そして、人種も様々ですから、びっくりすることも起こるのです。
 
 続きはまた。


 

Posted on 2015/11/10 Tue. 23:16 [edit]

category: 音楽

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10

本人の意思 

 ロンドンで教えている生徒たち。 ピアノが好きで習っている子もいれば、習わさせられている子たちもいます。
 上達の速度、それは好きで習っている子たちが勝ります。
 習わさせられている子たちも練習はしてきます。 ですが、同じ間違いの繰り返し、譜読みをせずに、あてずっぽうに弾いてくる(あれで、気持ち悪くない方が私はわからないのですが)。
 幸い、好きで習っているのだろうな、と思う子が多いので、今は成り立っていますが。
 
 過去に、最初は嫌いだったけれど、段々好きになってメキメキ上達した子もいます。
 その最たる例が、事情があって2年近く前に辞めてしまいましたが、「このピアノを部屋から運び出せ!」「みゆきなんて、にんじんになってしまえ! そうしたら、切って茹でてやる。 僕にもうピアノなんて教えられなくなるから!」と騒いだ当時5歳児がいましたが、彼は、6歳の頃からなぜかピアノが好きになり、9歳でやめるまで、私の過去、一番短期間で上達した生徒だと思います。 ご両親は練習時間の確保以外、彼は全て一人で練習をしていました。
 
 もちろん、こちらの指導、生まれ持ったものもあるかとは思いますが、結局のところ、本人の意思が大切なのではと思います。
 そして、1度でできないから、と怒らないご両親の忍耐も。
 私はどちらかというと、中身はイギリス人ですから、原因、理由を追及します。
 どうしても、1曲弾く間に止まってしまう場合、どうしたいのか。
 「止まらないで弾きなさい!」では、子供たちに伝わらないと思うのです。
 「どう思う? これを他の人がいる前で弾いた時、何度も止まってあなたが良いのであれば、私はもうこれ以上は言わない。 でも、他の人が止まったのをみて、私はそうしたくないな、と思うのであれば、一緒に解決法を考えるけれど。」
 という言い方をすれば、子供たちは子供なりに考えます。 そして、他の人が止まってしまったのをみて、そうしたくないと思った。 と答えることが多いのです。 稀に、もちろん、全然気にならない子もいますが。

 一人、再来週に初めてのフェスティヴァルを控え、本当に変わった子がいます。
 彼女は、私にレッスンでいわれたこと(ノートに書いてあること以外)も気に留めてくれて、自分で考えて練習ができるようになった子。
 どうして、間違えない、止まらない演奏をしたいのかがわかった子。
 彼女の場合、音楽は大好きなのがわかりますが、なかなか指が付いてきませんでしたが、ちょっとずつその差が縮まったな、と思います。
 もちろん、焦らなかったご両親のおかげでもあります。

 私の生徒たちの場合、クラシック音楽をとにかく聴いたことがない。 コンサートへはもちろん行ったこともないし、CDですら聴いたことが無い子たちがとても多い。 その先にある世界を知れたら、取り組みが違うだろうな(グレード取得、という目的だけでなく)と思いますが、時にご両親にお話もしてはいますが、なかなか難しい。 ご両親もクラシックのコンサートへはいらしたことが無い方が多いので。 昭和の高度経済成長期の日本のようです。 でも、日本はもう少し聴く方にも興味があったのかしら???
 私が現在教えている子達は、まさにそのような時代の感覚の人種が多いので。

 もちろん、上手になりたい、音楽が大好き!という意思があっても、空回りしてしまう時もある。
 先週はその前の週に遊びほうけてレッスン2日前にご両親に怒られ、レッスン中は最初のスケールであまりにも弾けない自分にショックで泣き出し、ずっと泣いていた生徒もいました。 ただ、彼女の場合、自分で弾けないことが悔しい涙でしたので、次に活きていくのかな、と思ってみていましたが。

 数あるお稽古事の中でも、ピアノを始め、楽器はどうしても週に1度のレッスンでは上達しません。 日々、少しずつでよいからどれだけ正しい練習ができるか。
 だからこそ、私はレッスンを始めた1週目から、練習する癖をつけてもらいたい、と思っているのです。
 そして、本当はこういう曲を弾けるようになりたい!という気持ちを持てるようになってもらいたいな、と。
 イギリスではどうしても、目標はグレード取得、だけになってしまいます。 それも悪くはないけれど、それだけで続くものではないのだろうな、というのが、教えていて生徒をみていて思った私なりの意見です。

 
 
 

Posted on 2015/11/09 Mon. 12:37 [edit]

category: 音楽

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09

エシュパイ氏の死去 

 このところ、公開では弾いていませんが、10年ほど前にしょっちゅう弾いていて、私が日本で初めてコンサートを行った2005年10月、アンコールで演奏して、反響が大きかった曲、エシュパイ作曲のトッカータ。

 この作曲家のアンドレイ・ヤコヴレヴィチ・エシュパイ氏が、満90歳で今日亡くなってしまいました。
 エシュパイ氏のお孫さんが私の友達。 サマーコースで知り合って、一番仲良くなったのが彼女。
 イタリアの講習会でも一緒になったり。 
 モスクワ音楽院出身の彼女は何度も参加していたので、毎年の再会を楽しみにし、いつしか、我が師匠は私たちを隣どうしの部屋に振り分けるようにもなりました。
 
 彼女がこのトッカータをサマーコースで弾いていて、現代音楽が苦手な私も一度で気に入り、楽譜をわけてもらって、色々なところで演奏してきました。
 アンドレイ・ヤコヴレヴィチ氏はモスクワ音楽院でソフロニツキーに学んだピアニストでもありましたが、ハチャトリアンにも作曲を師事しています。 多くのジャンルの音楽を書きましたが、残念ながらピアノ曲はトッカータくらいしか良いのがない、というのが友達を通して知ったこと。 私たちは、ソナタのような大き目の曲を望んでいたのですが。

 
 余談ですが、今回ちょっと調べていて知ったこと。
 私の友達のおじいさんである、アンドレイ・ヤコヴレヴィチ。
 アンドレイ・ヤコヴレヴィチ氏の息子(友達のパパ; 映画製作者)は、アンドレイ・アンドレイヴィチ
 アンドレイ・ヤコヴレヴィチ氏の父親は、ヤコブ・アンドレイヴィチ。
 ということは、私の友達の曾お爺さんのお父さんから、ファーストネームが、アンドレイ、ヤコブ、アンドレイ、アンドレイ
という、アンドレイだらけ。 (ファーストネームの次に来るのは、オーチェストヴァという、父称。 父親の名前が語尾変化)。
 
 日本人の名前が豊富な種類なのか?

 一度お会いしてみたかった方です。
 ご冥福をお祈りいたします。


 

Posted on 2015/11/08 Sun. 18:22 [edit]

category: 音楽

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08

11年前のリベンジか?? 

 11年前の11月末。
 カーディフの同門同学年の『5年間で野獣から人間になった男』が私の代わりに怒りを露わにして大学の廊下で叫んでくれ、あの師匠Dr.Sが 「僕はもう耐えられない。 僕はみゆきを教えたい。 でも、半年間、卒業までピアノ科主任と勉強したらどうだろうか?」
 ということがありました。
 この裏にあった1曲。
 
 2年半前、コンクールで使うかもしれなくて一度半解凍しましたが、当時のことがあるから、気持ちがついていかない。
 そのうち、このコンクールが人数集まらず中止、いずれにしてもこの数日前に複雑骨折。
 それから昨年はちょっと半解凍したりもしていましたが、本気解凍はせず。
 今回、人前で弾く為に、解凍。
 少しずつさらっていましたが、今日は初めて通して本気弾きしてみる。
 
 この曲を弾いていた時には想像の世界でしかなかった国。 そこへその後訪れて、今日はその景色が蘇るよう。
 そして、当時の私には大曲だったこの作品、師匠にみっちりしごかれて、その声が聴こえるよう。
 指と耳が微妙なタッチも覚えている。 でも、今の私はそれを発展させることもできる。
 当時なかったメカが少しは強くなった。
 
 大学の学内協奏曲コンクールピアノ科予選での結果。 周りが驚く結果。 主任の政治。 
 だから、ずっと聴くこともできないでいた曲です。
 グリーグのピアノ協奏曲 今回は第1楽章のみ。
 もちろん、今回もピアノ伴奏での本番ですが、それでも、私がこの曲をもう一度、人前で弾く、というのは大きなことです。
 やっと正面から向き合う気持ちになったのです。

 ロマン派の協奏曲としては地位が下にみられることが多い曲ですが、私はあの前向きな広がりが好き。
 でも、最初に書いたように、師匠は私と同じように結果にがっかりし、自分の生徒に何倍も厳しい結果をつけるあの師匠が、本当に落胆したのです。 だから、卒業試験で変な点数をつけられないように、これ以上悪さされないように、主任の生徒になったらどうか?(それまでも主任には誘われていたので)という提案。
 もちろん、私はそれをうけいれませんでした。 そして、卒業試験では落ちはしないものの、やられました。
  
 カーディフ時代の友達には、いつ私が主任を殴りに行くのだろうか?と心配されていましたが、もちろん、それはしません。
 でも、私はここまで来るのに、ちゃんと向き合うのに11年かかった。
 これをちゃんと本番で弾けたら、自分の世界を出せたら、それが一つの区切りだと思います。
 
 来週伴奏合わせをお願いしていますが、今日は一人で通して弾いて、最高に気持ちがよかった。
 ベートーヴェンの最後のソナタ、ショパンの幻想ポロネーズ、中に中に入っていく曲はもちろん好きですが、たまにはこういう曲も気持ちが良いものです。
 
 昨年、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番『皇帝』を譜読みしていた時には、あまりのポジティヴさに面食らいましたが、それとはまた違う。
 
 本番は楽しいだけではありません。 でも、先週のチェルトナムの時もそうでしたが、弾くのが楽しみで楽しみで、遠足前の子供みたいな気持ちになる時もある。
 今回もそう。 でも、本番で楽しむためには、それまでの準備が必要。
 今日、レッスンで見違える素敵な演奏をしてくれた同じような時に本番がある生徒のことを思いながら、私も準備を進めようと思います。

Posted on 2015/11/07 Sat. 23:08 [edit]

category: 音楽

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07

花火の日 

 11月とは思えないほど暖かいです。
今夜は、足冷えする私が珍しく、いつものもこもこソックスをはかずに、素足でいるほど。

 11月5日は、イギリスではガイ・フォークス・ナイト(Guy Fawkes Night)。 1605年11月5日に上院に火をつけようとしたところ先につかまり、惨事に陥らなかった、といういわれから、この日に現在では花火を上げたり、Bonfiresをしたりするのです。

 この数日前から既に花火の打ち上げが始まり(狭いところでもあげる怖い国)、この週末くらいまで続くのではないでしょうか。
 昨日は、私の部屋の窓からきれいにどこかで上げているものが見えました。

 
 私にとってGuy FawkesのBonfiresをしたのは、ただ一度。 一番最初、ロンドン南東、ケント州の高校に通い、ホームステイをしていた時だけ。
 今考えるととんでもなく恵まれた環境だった、この最初の一年。
 隣の家はどこにあるのかわかりません。
 レンガ造りの3階建ての家に、広い庭に、芝生のテニスコート。 そして、以前は馬小屋だった建物。
 この馬小屋だった建物を使って、ハロウィンの少し前に、ホストシスターのバースデーパーティーというものが行われ、そこに来たのは100人を超えるという凄いパーティー。
 誰かがDJの機械を持ってきて、とにかく一晩中踊りまくるパーティーでした。
 100人来て夜中騒いでも、誰にも迷惑がかからないのです。
 
 ガイ・フォークスは、普段は貸している周辺の牧場に気をくべて、大きなキャンプファイヤーのようなものを作り、あの焼きマシュマロの味は忘れられません。
 そして、テニスコートに寝転がって見た、満天の空。 

 あの経験は、今考えると素晴らしいものだったと思います。

 そういえば、昨年だったか、一昨年だったか、「この日は、ガイ・フォークスの花火だったから練習できなかった」と言った生徒がいました。 学校から帰ってずっと夜まで花火を上げ続けていたのか???? 
 日本の花火には劣りますが、今年ほど暖かく無い時、澄んだ空気の中で見る花火はまた違う美しさがあるものです。



Posted on 2015/11/06 Fri. 23:31 [edit]

category: イギリス事情

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06

日本語がわかる非日本人 

 イギリスで日本人とおしゃべりをする時、つい、周りの人はしゃべっていることはわからない、と油断してしまいます。
ですが、これは、とても気を付けなくてはいけない、と思うのです。
 
 先週チェルトナムでのこと。
 コンサート後、タウンホールのすぐそばのカフェで、聴きに来て下さった日本人の方とお茶していました。
 同じくらいの年のはずの彼女。 国は違いますが、彼女も日本以外の国で大学生活を送った方。 
 色々と話していたのですが、途中、一つテーブルをはさんで(ここは空いていた)隣に座っていらしたご家族のママから
「おいしいですか?」
 と日本語で声をかけられました。
 
 私たちは驚いたのですが(そして二人とも反射的に英語で答える・・・)、どうやらこのママさんは結婚する前に日本で英語教師をしていたそう。 もう日本語は、食べることに関するものしか覚えていないそうですが(おなかすいた、のどが渇いた、Etc)、就学前のお嬢さん二人に、ママは日本語がしゃべれる、と言ったら信じてもらえなかったから、私たちに通じるのか声をかけたそうでした。
 帰り際、「We are leaving」と声をかけてくださって、これを日本語でなんというのか?と聞かれ、私たちは二人とも考え込み、「行く」でもないし、「帰る」でもないし、なんだっけ??と出てこなくて呆れられました・・・
 こういう言葉は意外とすぐには出てこないのです。

 夏、日本へ行く際、乗り継ぎのアブ・ダビ空港でおしゃべりをしていたのは、日本で17年間生活するドイツ人。 なんとなく、最初に英語でしゃべりだしたので、彼の日本語をきくことはありませんでしたが、ほぼ問題なく日本語がしゃべれるそう(17年もいるのですから)。
 機内に入って、私の前に座っていらした50代前半くらいのイギリス人男性は、これからとりあえず1年間の予定で日本の私立英語学校(英会話教室だと思います)で英語講師をなさる、とか。
 ちょうど成田空港が混んでいて降りられなくて旋回していたこともあり、私たちはその間話し込んでしまい、旋回していることにすら気が付かなかった有様。
 インターネットでひらがなだけは読めるようにしたそうで、日本語の会話文のようなものを書いたものを片手に、日本で問題なく、日本語をしゃべれる、と思っていらっしゃるようだったので、その後どうなっているのか、とっても知りたいです・・・

 そしてその前に座っていらしたイギリス人女性は日本に20年以上住んでいらっしゃる方。
 私よりも長く日本で生活していらっしゃるわけですが、印象的だったのは、「私は、自分が日本人だったら日本には住まない」とおっしゃっていたこと。 降りる時に話していたので、詳しく伺えなかったのが残念ですが。
 
 こうして、日本語を聞き取れる方がどこにいるかわからないわけです。

 気を付けなくてはいけません。 

Posted on 2015/11/02 Mon. 23:07 [edit]

category: 日常

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02

北ロンドンの黄金の秋?? 

今年ほど、イギリスで秋を感じるのも珍しいのでは?
 天気も良いですし、歩いて30分弱のお宅での教えだったので、歩きがてら、近くの公園を突っ切ることに。
 住んでいるところから徒歩2分ほどの公園なのに、その存在を知ったのは、引っ越してから2年近くたった時のことでした。


151101-1


 それなりに大きめの公園。
 カフェというか、日中は売店のようなものも開いているようです。


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 いつもは個性的にバラバラに色づいているような気がするイギリスの木々も今回は優秀な群舞になりつつあるようで・・・


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 もう少ししたら寒々しい風景になりますが、青空の元、薄暗くなるまでは、コートもいらなかった(昨日なんて、仮装ではなく、ノースリーブのワンピースに、素足にサンダル、という人も見かけましたし、半袖の人もたくさん)ほど。
 落ち葉の上を歩く音は、心地よいです。


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 途中の景色も普段とは違って見えます。
 
 きっと、高さのある所へ行ったら、もっときれいだったのでは?と思いますが、そこへ行く時間はなく。
 秋の夜長、黄金の秋。 新学期が始まって落ち着かない学生時代には感じる余裕のなかった言葉。
 こういうことを感じるのは、年を取ったせいなのか、それとも、今年の気持ちが良い気候のなせる業なのか。 
 どちらでしょう?

 

Posted on 2015/11/01 Sun. 23:19 [edit]

category: 日常

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